中国OEM/ODM企業が届ける魅力~「AFF・東京2025夏」レビュー⑥

2025年06月24日 (火曜日)

新たな視点でニーズ深掘り

 AFFは、既に日本企業とのビジネスで豊富な実績を持つ中国企業の出展も多い。これらの出展者が、培ってきた経験を生かして日本市場のニーズの変化を読み取り、新たな提案を加えることで顧客との関係の強化・安定化につなげる場にもなっている。

 紹興昭霖貿易は織物と丸編みの製品を手掛け、品目もアウター、パンツ、シャツ、制服と多岐にわたる。

 現在、全体の100%近くを占める対日ビジネスは15年以上続けている。さらに日本企業のニーズを深掘りするため、AFFには東京と大阪の両会場で出展している。「日本企業との取引には信頼関係が深まっている手応えがある。新型コロナウイルス禍以降は小ロットのニーズが増えたが、当社は対応が可能だ」と話す。

 今回の出展ではサステイナブル対応を打ち出した。ケミカルリサイクルによる再生ポリエステル繊維などの活用を提案した。

 「ホームテキスタイル」ゾーンに出展した常熱常聖服飾も100%日本向けに事業を展開する。織物とニットを手掛け、生地から提案する手法でOEM/ODMの付加価値を高めている。

 今回は、得意とするクッションやペット用ベッドを出品した。比較的小型のアイテムを製造するため、細部の加工についても要求に応えられる技術力をアピールした。

 青島詩鈞服装は、ワンピースやブラウスなどレディースを中心に織物製品を供給する。日本向けが100%で、直取引を基本方針とする。

 小ロット・短納期のニーズへの対応に優れ、最短で30日の納期の設定も可能と言う。スピード重視の企業にとって最適のパートナーになり得ると自負する。

 AFFには4年連続で出展しており、今回はミャンマーで築いた生産背景も紹介した。「ミャンマーでの生産には、中国企業によるネットワークを活用できるメリットがある」。

 大連易中進出口は和装品に特化したOEM事業を行っていた。コロナ禍で日本のさまざまな祭りが中止となり、主力の浴衣の受注が激減したことを受け、ユニフォーム分野にもOEMの範囲を広げた。

 こうして状況打開に踏み出すタイミングで2024年に初出展し、新規の顧客獲得につなげた。現在、ユニフォーム事業は着実に業績を伸ばしている。

 今回は入社して間もない若手従業員を同行させ、ブースで来訪者に応対する経験を積ませた。AFFを人材育成の場の一つとしても活用し始めた。

(おわり)