華南ブランド関係者に聞く④/「パイナップル&ミー」紅房子商貿 周茜代表

2025年06月25日 (水曜日)

卸売市場の「隠れた王者」へ

――レディース「パイナップル&ミー」の概要を。

 深圳の南油服装卸売市場で展開しています。2017年の創業以来、卸売りに特化してきました。顧客は、中国全土のアパレルブランドやネット通販ブランド、セレクトショップです。大部分がODMになります。顧客は自社ブランドのロゴを貼り付けて販売しています。パイナップル&ミーのブランドとして販売されるケースはまれです。

――卸売りにこだわる理由は。

 製品の実力があり、ポジショニングが正しければ、広告投下などしなくても素早く市場に浸透できるからです。将来、リブランディングして小売りに参入することも検討していますが、一方で目立つことで模倣などの問題が発生し、運営コストが上がることも懸念します。当分は、卸売市場の「隠れたチャンピオン」を目指します。

――商品アイテムと価格帯、顧客ターゲットは。

 300、400元のTシャツから数千元のダウンウエアまでフルアイテムを展開しています。高級なイタリア製素材を使ったウールコートは、1万元を超えます。

 ターゲットは、年齢を問わず、デザインと素材の良さを理解する層です。デザインは、飽きのこないシンプルで洗練されたミニマルデザインです。

――採用する素材は。

 日本やイタリアの高級品です。特に日本品が多いです。スタイレム瀧定大阪、瀧定名古屋、豊島などの天然素材使いの生地を採用しています。大部分が備蓄品で、バイオーダー品は一部です。古い織機で織った独特の風合いや色使い、さまざまな後加工など、日本品の特徴を高く評価しています。

――縫製はどこで。

 広東、浙江、遼寧各省や内モンゴル自治区、上海など、さまざまな地域の協力工場を活用してます。

――今後の計画は。

 デザイン力を高めるため、フランスにデザイン事務所を設立することを検討しています。

 創業から現在までの約8年間、順調に成長してきました。年間生産枚数は数十万着に達しています。今後も目立たず、おごらず、市場開拓を続けます。

(深圳=岩下祐一)