チクマ 衣料品初の「EPD」認証取得
2025年06月26日 (木曜日)
繊維商社のチクマ(大阪市中央区)はこのほど、衣料品で初となる「EPD(環境製品宣言)」環境ラベルを取得した。アルファピア事業部が25秋冬向けにEPD認証取得のユニフォームの新商品を投入する。
製品ライフサイクル全体にわたる環境負荷を数値化・開示するEPDの取得を契機に、製品の環境負荷を定量化(見える化)する新たな環境プロジェクトを始動。持続可能な社会の実現に向けた取り組みを加速させる。
EPDは、国際規格ISO14025に準拠した認証ラベル。製造から廃棄に至るまでの温室効果ガス排出量や資源使用などを、LCA(ライフサイクルアセスメント)の手法で評価し、第三者機関による検証を経て認証される。日本では一般社団法人のサステナブル経営推進機構(SuMPO)が運営主体となり、EPDプログラムを展開している。
今回、チクマが取得したEPD認証の対象は、「マリークヮント」の25秋冬新商品のジャケット(品番M47091)とワンピース(同M57091)。素材には、帝人フロンティアのポリエステル100%「パミオストレッチヘリンボン」を採用した。SuMPOEPDの公式ウェブサイト上でも認証情報が公開されている。
同社では今後、こうした情報開示を通じて、消費者や取引先とのサステイナビリティーに関するコミュニケーションを強化する方針。アルファピア事業部にとどまらず、ほかの事業部でもEPD認証取得に向けた商品開発を進める。
SBT認証取得にも挑戦
チクマは業界に先駆け、「SBT(Science Based Targets)」認証取得も目指している。SBTは、パリ協定に準じた温室効果ガスの削減目標を科学的根拠に基づいて設定・達成するための国際認証制度。自社の直接排出(スコープ1)、電力由来の間接排出(スコープ2)に加え、調達や物流などバリューチェーン全体を対象とした排出(スコープ3)にも対応が求められる。
日本国内でSBT認証を取得した企業は今年1月現在で1435社(うち中小企業は1165社)。2年以内にSBTへのコミットを表明している企業は90社ある。目標設定では年率4・2%以上の排出削減が求められるなど高いハードルを伴うが、ESG投資や取引先からの信頼確保、企業価値の向上につなげることができる。
同社は1995年に環境推進室を開設し、使用済みユニフォームの回収・再資源化に取り組む独自のリサイクルシステムを構築。累計1910万点(2024年8月)の衣類を回収してきた。環境配慮への意識が高まる中、新たな環境プロジェクトとしてEPDとSBTの両軸を柱に、リーディングカンパニーとしての取り組みに力を入れる。