シキボウ UTC承継は「成長戦略に合致」
2025年06月27日 (金曜日)
シキボウは25日、ユニチカの連結子会社ユニチカトレーディング(UTC)の衣料繊維事業の大部分を承継することで基本合意に達したと発表した(一部既報)。今期(2026年3月期)から新たな3カ年の中期経営計画を始動させたシキボウにとって、尻家正博社長は今回の事業譲受が「成長戦略に合致する」と説明。UTCが持つ海外拠点を活用し、グローバル市場の開拓を加速する。
譲渡対象となるのは、UTCの衣料繊維事業のうち、ユニフォーム、寝装品、プリント各事業、シャツ事業の一部、さらにユニチカ〈北京〉貿易やUTCベトナムの繊維事業、UTCインドネシアが手掛ける全事業。UTCインドネシアは株式譲渡、その他は事業譲渡の形式を取る。
UTCの売上高約360億円のうち、衣料繊維事業は200億円弱を占めており、今回の譲渡によって約8割がシキボウに移るとみられる。ユニチカの藤井実社長は、シキボウを譲渡先に選んだ理由として「可能な限り事業活動と雇用を維持していただける」ことに加え、21年からUTCとシキボウが製品開発や生地の生産・販売で協業し「相互に親和性の高い取り組みを続けてきた」ことを挙げた。
シキボウはUTCの事業譲受で「事業規模の拡大と効率化、技術・開発力の向上、販売チャネルやブランド力の強化、人材交流などでシナジーが期待できる」(尻家社長)として、自社の新中計における成長戦略に合致すると強調。今回の譲受により、UTCの販売拠点であるインドネシア(ジャカルタ)、中国(北京)、ベトナム(ハノイ)が加わることで、中計の重点課題である海外販売の拡大にも弾みがつく。
UTCの産業資材など残存する事業については、ユニチカ本体への吸収、UTC単体での継続、関連会社への移管といった選択肢が検討されている。
20日にはセーレンがユニチカの岡崎事業所(愛知県岡崎市)における合繊・不織布事業の承継を発表。25日にはカワボウ(岐阜市)がユニチカスピニング、瑞光(大阪府茨木市)が垂井事業所(岐阜県垂井町)のスパンレース不織布事業を引き継ぐことを発表し、ユニチカの繊維事業の譲渡先はおおむね固まりつつある。
大阪染工(大阪府島本町)、検査機関のユニチカガーメンテック(同貝塚市)、学販体育衣料製造卸のユニチカメイト(大阪市浪速区)については、現在も交渉が続いている。
ユニテックスは26年9月に閉鎖
ユニチカは25日、インドネシアの紡績工場、ユニテックス(西ジャワ州ボゴール)を26年9月末に閉鎖すると発表した。ユニテックスはシキボウへの譲渡対象外となるが、UTCインドネシアが取り扱う複重層糸「パルパー」など全商品の商権をシキボウの紡織加工会社、メルテックス(東ジャワ州モジョケルト)へ移管。一部設備の移管や従業員の再雇用も協議する。
ユニテックスは1971年に創業し、近年はパルパーを主とした差別化紡績糸の生産に特化していた。同社のホームページによると、総錘数は3万1080錘で年間1万5千コリの生産能力を誇る。従業員は135人(23年9月)。