特集 環境(4)/社会要請に応える先進の取り組み/スタイレム瀧定大阪/ヤギ/モリリン
2025年06月26日 (木曜日)
〈「社会にサステを」/エコアーチ品番拡大/スタイレム瀧定大阪〉
スタイレム瀧定大阪(大阪市浪速区)のSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みは、2019年に環境推進室を設け、社内認証を伴うサステイナブル品番の総称ブランド「エコアーチ」を立ち上げたところから本格的に始まった。
SDGsの17の目標の詳細、意図をくまなく勉強し、業界内や異業種との交流も進めて理解を深めていった。21年には環境品質管理室に改称するとともに、欧米ブランドが強く求める第三者認証の取得にも力を入れていく。今期(26年1月期)からは社内に認証取得推進室という新たな部署も設置した。
今ではオーガニック製品の「GOTS」と「OCS」、再生原料使いなどサステな生産プロセスを担保する「GRS」と「RCS」、適切な森林管理を認証する「FSC」、動物愛護の「RWS」などを取得するに至っている。
22年には「人々にワクワクを 産業にソリューションを 環境と社会にサステナビリティを」というパーパス(企業の社会的な存在意義)を策定。これを基本軸としてSDGsへの取り組みを続けている。
エコアーチでは各営業課が開発した原料や生地を環境品質管理室に申請、同管理室がエコアーチの趣旨・基準に該当するかを検査・調査し、基準をクリアすればエコアーチのロゴマークを記したタグを付与する。
この数年で徐々にエコアーチ品番は拡大しており、同社が1年間に投入する5千~6千品番のうち25%に達した。当面50%への引き上げを目標とする。
「認証のあるサプライチェーン」の構築もテーマに据えており、国内外の仕入れ先や関係先と一体になって認証取得をベースにしたサプライチェーンを作り、人々にワクワクを届けていく。
〈PLA「プラックス」拡販へ/タイ生産が本格化/ヤギ〉
ヤギは、昨年リブランディングした環境配慮型糸の総称ブランド「ユナ・イト」、綿農場から市販糸化まで一貫の履歴追跡を実現するオーガニック綿のトレーサビリティーシステム「コットンiD」など多様なサステイナブル素材の拡販や取り組みを推進している。2023年に資本提携したバイオワークス(京都府精華町)のポリ乳酸(PLA)繊維「PlaX」(プラックス)製糸・生地販売もサステの取り組みの一環だ。
プラックスは、サトウキビなどの植物を原料とするバイオマス素材PLAに、独自の植物由来添加剤を加えることで品質と機能をアップデートした新素材。「植物由来」「CO2排出量削減」「循環」「抗菌・防臭」の4要素をアピールポイントに顧客提案を進めている。
原料のサトウキビがタイで収穫でき、比較的安価に生産できることから同国での紡績糸生産、生地生産を始めた。紡績糸は現地の紡績工場3社と取り組んで細番、中番、太番を生産、タイと日本で備蓄して販売し、別注にも応じる。
生地でも現地の編み立て工場、織布工場、生地染め工場と連携して生産する体制を整えた。編み地を主体に短繊維織物も生産し、緯糸に長繊維糸を配した生地にもトライする。プラックス糸100%使いもあるが、綿やアセテート、キュプラ繊維との混紡糸使いが大半を占める。
一部で既に実売が始まっているほか、アパレルなどからは「具体的な要望や協業依頼が届いている」と言う。
欧米アパレルのASEAN縫製向けに販売するスキームの確立も急ぐほか、北陸産地で糸加工などとの協業を進めて付加価値化を図る。インドネシアやベトナムでの生産も本格化させていく。
〈衣類の再利用に付加価値を/環境配慮型素材として訴求/モリリン〉
モリリンは環境配慮型の原料や生産背景に加え、循環・再利用を軸にした差別化素材を打ち出す。それらを素材ブランド「エバーサークル」として販売を強化している。中でも訴求を強めるのが衣料品の循環・回収スキーム「ビオロジック・ループ」を活用して再生産した素材「彩來瑠」(さいくる)だ。
彩來瑠の開発・販売は繊維製品の回収・再生事業を手掛けるBPLab(ビーピーラボ、東京都港区)と協業しながら進める。BPLabが衣料品の回収専用ボックスを設置し、そこで回収された不要な衣料品を原料の種別に分類後、リサイクル工程を経て新たな原料に再生。その中からポリエステル原料をペレットにし、モリリン海外自社工場が紡糸する。こうして再生産した原糸・生地を彩來瑠として取り扱う。
繊維製品の回収・再生を付帯した提案は、ユニフォーム向けの開発・販売事業と親和性が高いとみられる。既製品のOEMや企業向けオリジナルユニフォームを提案・供給する際に付帯することで、販売・採用側のイメージも向上する。販売先との協業を深めながら浸透度を高めつつ、採用事例を増やすべくアピールを図る。
課題は色数が限定されること。基本的に黒色と白色のペレットから紡糸するため、白と黒から派生するグレー系の糸が基調となる。半面、他の同原料との複合も可能。環境配慮型原料との掛け合わせでその特徴を倍加させることも期待できる。
認知度向上に向け、スタートアップやベンチャー企業など異業種への周知にも注力する。この事業に関わるユニフォーム課の深見礼課長は「いかに共感できる“仲間”を増やせるかがポイントだ。ユニフォームに限らず、さまざまな繊維製品や成型物への採用も目指す」と期待を込める。





