特集 環境(12)/社会要請に応える先進の取り組み/島田商事/伊藤忠マシンテクノス/レンチングファイバーズ/QTEC
2025年06月26日 (木曜日)
〈副資材購入で自動的に寄付/認知度向上に努める/島田商事〉
副資材製造卸の島田商事(大阪市中央区)は独自のアイデアに基づいたSDGs(持続可能な開発目標)関連事業を進めている。「T.S.P.L.」プロジェクト(PJ)がそれだ。
同PJはSDGsの17の目標それぞれで提示されているテーマカラーに着目した資材販売の取り組み。「多彩な色を持つ副資材だからこそ表現できることがあるのではないか」と考え、SDGsのアイコンカラー17色の副資材をラインアップした。
対象の副資材をアパレルなどが購入すると、その3%が自動的に支援団体に寄付される。団体はブリッジエーシアジャパンなど複数ある。アパレルやその製品を購入した消費者が自動的にSDGsに貢献できる取り組みだ。
従来品と価格は変えていない。現状、企業ユニフォーム分野での採用が先行している。
2024年度の対象資材の販売総額は500万円で、23年度の756万円を下回った。伸び悩んではいるが、「必要な取り組み」として認知度向上に努めるとともに、コンセプトは維持しながらリニューアルを予定する。
〈労働環境の改善に貢献/工場の自動化にも/伊藤忠マシンテクノス〉
伊藤忠マシンテクノスは、無駄の削減や労働環境の改善に貢献する繊維機械の提案に力を入れている。足元ではザーム(ドイツ)の自動ワインダーやアドバンテージ・サイエンティフィック(台湾)のノズル検査機などへの注目が高まっている。
ザームのテークアップワインダーは、特に低速(毎分1500メートル程度まで)の巻き取りに強みを発揮する。優れたテンションコントロールで巻き取りが難しい糸種にも対応し、モノフィラメントやマルチフィラメント、炭素繊維、コーティング糸などさまざまな分野で使われている。
近年は、巻き取り完了後にパッケージを回収して次の巻き取りを始める自動切り換えへの注目も高まっている。工場全体の自動化を進める上で欠かせない機能で、省人化のほか、回転体に人が近づくのを避けるなど労働環境改善でのニーズも増えている。
アドバンテージの自動検査機は、ノズル孔の詰まりや摩耗度を素早く検査し、単純作業を機械化する流れの中で引き合いが増えている。検査速度は1孔当たり1秒以下で、軽微な汚れがあればエアで排除する。検査後に本格的な洗浄が必要な場所は自動でマーキングされ、作業者の手間を省く。人工知能(AI)を活用し、異形断面糸用など複雑なノズル孔にも正確に対応する。
〈ヴェオセル、存在感高まる/環境配慮製品への採用増/レンチングファイバーズ〉
オーストリアのレンチングファイバーズが展開する不織布「ヴェオセル」が、環境配慮型製品の素材として存在感を強めている。
ヴェオセルは、木質由来の原材料をベースにクリーンで安全な方法で製造された繊維を使い、不織布製品廃棄後に生分解するという条件をクリアしている。製品は、レンチング社と製品メーカーがライセンス契約を結び、最終製品のパッケージをはじめ、チラシや店頭のPOP、SNSやウェブサイトなどにも使用され、消費者にアピールしている。
不織布製品が生分解するためにはプラスチック繊維を含まず、全てセルロース繊維で構成され、欧州のSUPD(使い捨てプラスチック指令)に沿ったものに限られる。ヴェオセルを採用することで、製品メーカーはSDGs(持続可能な開発目標)の「つくる責任」を、消費者は「つかう責任」をそれぞれ果たすことができるとしている。
今春、おしぼり製造の日本ラインファースト(東京都板橋区)が「環境配慮型おしぼりナチュレ」にヴェオセルを採用。有名ホテル・レストランに展開している。
18日、PLAYFULBOX(大阪市)がベビー用品ブランド「ネオママイズム」の「ウッドベースドワイプス」で共同ブランディングを開始。「肌にも地球にもやさしい選択を」と訴求している。
〈選ばれる検査機関へ/サステナの取り組みを深化/QTEC〉
日本繊維製品品質技術センター(QTEC)のサステナビリティ推進室は、財団の持続可能性に向けたさまざまな取り組みを進めている。山中毅理事長のトップコミットメントや人権方針、企業行動ガイドラインを社内外へ発信し、職員の意識も変化してきた。サステナ対応をさらに深め、顧客から選ばれるQTECを目指す。
サステナビリティ推進室は昨年4月に発足し、5人体制で多様な活動を行っている。室長を含めた5人全員が「より深いサステナ経営/CSRのリテラシー」を身に付けることを目的としたサステナ経営検定2級に合格し、東京商工会議所の「eco検定」にも合格した。
自分たちの知識を深めると同時に、社内にはサステナビリティに関するコラムの配信(毎月1回)やこども家庭庁のベビーシッター券の導入などを推進。そうした取り組みの結果、職員のサステナに関する知識が深まり、意識も高まってきた。
東日本事業所・検査認証チームは、特定技能1号に関連する監査要求事項・評価基準「JASTI」の監査機関として、監査のほか、事業者からの相談にも対応している。