繊維ニュース

シキボウ 成長への変革を実現

2025年06月30日 (月曜日)

 シキボウは、今期(2026年3月期)から始動した3カ年の新中期経営計画で、「稼ぐ力の向上」と「新中核事業の成長・拡大」を軸に、持続的な成長を目指す。27日に就任した鈴木睦人社長は、「さらなる成長への変革を実現していくステージとなる」と話す。

 長期ビジョン「マーメイド2042」の実現に向け、まずは30年度に売上高550億円、営業利益36億円の目標を設定。新中計は、これに到達するための成長戦略であり、27年度に売上高480億円、営業利益25億円を計画している。

 重点課題となるのは稼ぐ力の向上。既存事業の収益力強化に加え、海外拠点を最大限に活用したグローバル市場の開拓に取り組む。さらに食品・化成品、複合材料といった新中核事業の育成に注力。「楽しくワクワクしながら働ける」社内環境の醸成や、「軸足である繊維で培った技術を社会課題の解決に生かす」ことで企業価値の向上につなげる。

 25日にはユニチカと、連結子会社ユニチカトレーディング(UTC)の衣料繊維事業の承継に関し、基本合意に達したと発表。シキボウとUTCは21年4月から営業、技術面での連携を進めてきた。今回の事業統合により、UTCの持つ「ビジネス、人財、技術、海外販売拠点が当社の繊維事業と融合することで、新たなシナジーを創り出し、さらなる成長を目指していきたい」。

 特に主力のユニフォーム事業では、UTCが強みとする官公需や別注対応のノウハウ、販路を取り込むことで競争力を高める。高通気素材「アゼック」と、ユニチカの複重層糸「パルパー」を組み合わせるなど、技術面での融合によって新たな素材を開発し、顧客への提案の幅を広げる。

 鈴木社長は「畑を耕して、種をまき、芽が出てきた。これからは収穫の時期に入る」と話す。紡績技術を起点に、化成品や複合材料へと展開する総合力を生かしながら「プチイノベーションを積み重ね、社会の変化やニーズに応えるモノ作りで未来を切り開く」と強調する。