丸佐/新販路構築、用途開拓重視/独自素材と“ものづくり”で
2025年06月30日 (月曜日)
東レグループの繊維専門商社、丸佐(岐阜市)は今期(2026年3月期)、新販路構築と用途開拓を最重要課題として取り組む。東レとのシナジーも生かした独自素材を軸に“ものづくり商社”の機能を高める。中期経営課題3カ年計画最終年度の今期、売上高90億円(前期比1・5%増)、営業利益2億2千万円(同6・7%増)の到達を目指す。
木下勝弘社長は「営業利益2億円を確保する体制はできた。従来にない商取引の確立で売上高を引き上げたい」と方針を定める。卸売業の発想から転換し、メーカー機能を生かした、最終製品まで手掛けられる独自性を強みにする。
その実現の一環として、年2回開く自社展示会の改善にも着手する。5月に開いた自社展は、従来の商談会ではなく丸佐が持つ生産面での機能と、差別化素材を軸にした訴求に切り替えた。販売先からも好評で、新規の商取引につながりそうな案件も発生したもようだ。
これらの高度化を図るため、事業戦略部が機能を果たす。東レとの協業で機能付与型を中心とした独自素材を開発し、先兵となりアプローチを掛ける。短期的には原糸や紡績糸、生地販売で商材の浸透度を高め、製品販売につなげたいとする。
中国への販売強化にも取り組む。丸佐〈上海〉貿易有限公司は駐在員1人を含む7人体制で、今後も増員を進める。中国の商習慣に合わせた仕組み作りが課題で、即応性と即時納品への可能性を探る。
商品形態別では、資材向けを含む原糸・原綿や紡績糸販売と生地販売は堅調で、今後も販売増が期待できる。防護医療やワーキングなどのユニフォーム向けの拡販を狙う。売上比率の3分の2を占めるガーメント(製品)では、主力のセレモニー向けで回復が見込めそうだと展望する。
半面、カジュアルなど一般衣料向けは秋冬物商戦が不透明だと予想。期近となる販売先のMDを注視しながら、慎重に対応を図る。