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東レ・機能製品事業部 新たな価値で持続的な成長

2025年07月01日 (火曜日)

 東レのユニフォーム地販売を主力とする機能製品事業部は、海外拠点と北陸産地の機能を活用した商品の高度化を軸に、持続的な成長を目指す。

 府上忠機能製品事業部長は「変化を捉え、新たな価値を提供することで、持続的な成長を実現していく」と話す。

 2024年度は、LGBTQ(性的少数者)への配慮から学生服のブレザー化が進んだ影響で、詰め襟服の需要が減少。少子化も重なり、学生服地向けの出荷は「想定以上」に落ち込んだ。さらに原材料高にも苦戦した。一方で、ワーキングや白衣、企業別注は堅調に推移し、学生服地の落ち込みをカバーした。24年度は「苦しいながらも底」との見方を示し、25年度は販売に勢いをつける。

 「売る側と作る側の双方でグローバル化を進める」として、製販両面での体制を強化。中国では上海、南通、香港の拠点を連携させ、効率的なサプライチェーンの構築を進める。「14億人の巨大市場は、東レにとって切っても切れない重要市場」として、日系工場向けのワークウエアや病院向け日本企画品など、内販スキームを描く。

 11月にはドイツで開かれる労働安全・衛生分野の見本市「A+A2025国際労働安全衛生展」に出展。難燃素材などを軸に欧州市場の開拓にも力を入れる。

 国内市場では「面を取る戦略」として、日本のユニフォームメーカーが活用する縫製工場へ、中国・アセアン地域の拠点からの供給を強化。北陸産地では合繊クラスターで連携する強みを生かし、商品の高度化を図る。産地の後加工技術と、独自の複合紡糸技術「ナノデザイン」などを組み合わせた「合わせ技」による開発を活発にする。

 気候変動を背景に、暑熱対策関連の需要も拡大。夏向けは「今後の成長の大きな柱になる」として、電動ファン(EF)付きウエア向けのベース素材や接触冷感、通気性、吸汗速乾性に優れた素材開発に注力。さらに「ポリエステル・ウール素材を使っていた男女ペアのセットアップ企画の合繊100%化」「着用快適性の向上」といった市場のトレンドを捉え、ストレッチ性や通気性に優れたニット調織物などの素材開発を進める。

 機能製品事業部は「ファイバー部門とテキスタイル部門の中間に位置し、両者の強みを融合できる立場にある」と分析。その特性を最大限に生かし、事業を拡大基調へと導く。