特集 25秋冬オフィス・サービスウエア(6)/トップに聞く/アルトコーポレーション/シー・エム・エル/セフティ繊維/KAZENホールディングス/明石スクールユニフォームカンパニ
2025年07月01日 (火曜日)
〈アルトコーポレーション 社長 ヒロ瀬 由武 氏/カタログ定番品が好調〉
前期(2025年2月期)に大口の案件があったことから今期はその反動を想定した計画を立てており、おおむね順調に進んでいる。
25春夏では、東レの植物由来ポリエステル「エコディア」を採用したECシリーズや、半導体、精密機械工場に最適なIEC(国際電気標準会議)規格対応の制電ユニフォームをはじめとするカタログ定番品が前期以上に好調に推移している。さらに別の大口案件も貢献していることから、現時点では全体として微減収にとどまる見通しだ。前々期比では大幅な増収となる。
原燃料費や人件費の高騰、円安といったコストアップ圧力によって、これまで値上げを続けてきたが、25秋冬では改定を見送った。
ユーザー企業においても人手不足は深刻な問題になっている。人材を集めるためのツールの一つとして役立てられるよう、ニーズに合わせた製品の提供を心掛けていきたい。
〈シー・エム・エル 代表取締役社長 髙木 涼介 氏/高付加価値商品を提案〉
高濃度電解水を織り込んだ特殊な生地を使用したサービスウエアの新商品「ワークシャツT01」を発表した。マイナスイオンを発生させることで着用者の体の軸が整うように工夫してある。希望小売価格1万9800円と高単価だが発売直後から順調な売れ行きを見せており、今期のイチ押し商品として積極的に拡販を進めている。
春夏は、美容専門学校の教員や生徒向けアイテムの大型受注案件があり、前年に比べて売り上げは微増となった。
さらにエステ業界の大手商社と商品の取り扱い契約を結び、さらなる販路拡大を目指している。
現在、製品のリニューアルも検討中だ。ユニフォーム全品番で使用する生地の変更を予定している。動きやすさや、シワになりにくさといった機能を追求しつつ、高級感のある生地を採用し付加価値向上を図っていく。
〈セフティ繊維 代表 武田 昌也 氏/今期は2本柱の増収策〉
警備服販売は堅調に推移しており、2025年2月期売上高は約17億8千万円だった。今期は電動ファン(EF)付き警備服をはじめとする暑熱対策品と、今秋立ち上げ予定の新ブランド「クールレボ」の2本柱で増収を図り売上高20億円を目指していきたい。
クールレボは、格好良さ、変革をコンセプトにファッション性を取り入れた警備服となる。警備業は比較的安定成長が続く業界だが、人手不足と経営者の高齢化に伴う事業承継は大きな課題だ。
そのような中で、警備業志望者が着てみたいと思えるような魅力ある制服を提供することで警備会社のプロモーションの役に立てればと考えている。
創業40周年の節目を迎えた今年3月に代表に就任した。地方を含めた小回りが利く納品体制という、これまで築いてきた当社の強みを引き続き伸ばしていく。
〈KAZENホールディングス 執行役員経営企画室長 三浦 利幸 氏/人手不足の影響懸念〉
インバウンド需要を追い風に順調だったサービスウエアだがここに来て一服感が出ている。今春夏の売り上げは前年並みだが、事業を取り巻く環境は大きく変化しつつあるように感じる。適切に対応できるよう方策を練っていきたい。
中でも深刻さを増しているのが人手不足だ。サービス業種の景況が悪化したというより、あらゆるところで人手が足りていないことによる影響の方が大きい。ユニフォームを着用する働き手に限らず、リネンサプライ業においても人手が足りずに受け入れを制限せざるを得ないところが出始めていると聞く。円安水準が続く為替相場も先行きを読みづらい展開になっており懸念材料の一つ。
SDGs(持続可能な開発目標)達成に向けた全社的な活動「KAZENレインボープロジェクト」に取り組んでいる。製品面では環境に配慮した素材の採用やモノ作りを進めている。
〈明石スクールユニフォームカンパニー 営業本部プランニング 部長兼AC企画課長 伊藤 良太 氏/会社全体で営業強化〉
上半期(2025年1~6月)の、企業向けユニフォームを扱うアクティブチャレンジ部の売上高は前年同期比横ばいとなった。主力の「ルコックスポルティフ」が、ブランド力に加え、スポーツブランドならではの機能性とデザイン性が融合する強みが顧客に支持されている。
今年、新ブランドの「ロハピ」を発表した。ナチュラルカラーを取り入れた柔らかなデザインが特徴のブランドで、素材の原料に再生PETを採用するなど、環境配慮にもこだわっている。2月に開かれた介護用品展「ケアテックス東京」を皮切りに、学会などでもPRを進めている。
下半期に向けては営業力を強化していく。学生服向けの営業担当もメディカル・介護向けの営業を担うなど、会社全体で病院案件を取っていく体制になった。獲得事例を皆で共有しながら、営業力を高めていきたい。
〈万博・ハンガリー館/民族文化の造形美表現〉
大阪・関西万博の各国パビリオンにおいて、ビジュアルアイデンティティーの重要な要素となっているのがユニフォームだ。
ハンガリーパビリオンのユニフォームは、同国ファッションブランド「エリシアン」の著名デザイナーであるボーディシュ・ボグラールカ氏の作品。「ハンガリーの民俗文化の造形美と、控えめながらも洗練された日本のデザイン要素を融合させた」と言う。持続可能性にも配慮した。
オフィス、サービス、食品白衣と業務の役割に合わせて明確にデザインを使い分けている点、さらには全体的に落ち着いた印象を醸し出しており、日本のビジネスシーンにも十分受け入れられる品質ではないだろうか。