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ワークウエア 裏綿こそ売れ筋

2025年07月03日 (木曜日)

 ワークウエアでは、ポリエステル90%・綿10%の混紡素材、いわゆる「裏綿」使いのセットアップ企画が売れ筋として注目されつつある。ここ数年は原材料高による値上げによって、コストを抑えやすいポリエステル100%素材の企画が増えていた。しかし、最近は天然繊維の価値や綿の肌触りへの再評価が進み、再び裏綿への関心が高まっている。

 25秋冬向けでも裏綿使いの新商品が増える傾向にある。

 裏綿は、ポリエステルの高耐久性・高発色性・退色のしにくさと、綿の吸汗性・肌触りの良さを併せ持つワークウエアの定番素材として、製造業、建築業、サービス業など幅広い現場に適している。

 ジーベック(広島県福山市)の「1500シリーズ」は、21秋冬から展開するバイオベース(植物由来)原料のポリエステルを使用した裏綿素材のシリーズ。パンツのウエストには、屈伸や着座時の圧迫感を軽減する独自機能「NEWピタリティ」を採用。すっきりとした見た目と快適な着心地を両立させた。

 販売量は年々伸びており、現在は同社の主力商品に成長。今年は前年比で倍増の勢いを見せていると言う。新色「キャメル」の追加で全9色展開となり、企業のコーポレートカラーにも合わせやすい。

 中塚被服(同)は、ストレッチ裏綿素材を使用した「ディモ」D53シリーズに、実用性重視のカーゴパンツを追加。これまで同シリーズでは縦ファスナー仕様のポケット付き「アーマードパンツ」を展開してきたが、現場からの「斜めポケット付きの実用的なカーゴパンツが欲しい」との要望に応えて商品化した。

 ストレッチの綿100%のD54、ポリエステル65%・綿35%のD55シリーズともデザインに共通性を持たせ、素材違いでも企業内で統一感のあるユニフォーム提案ができる。特にD53シリーズは、東レの植物由来ポリエステル繊維「エコディア」を使い、環境面から訴求でき、幅広い業種で採用。売れ筋として、販売計画を拡大しており、追加生産にも入った。

 25秋冬向けセットアップの新商品も裏綿使いが目立つ。コーコス信岡(同)は新ブランド「モンバレーノ」を打ち出す。濃淡を生かしたワンカラー配色でシンプルながら個性を演出。ポリエステル93%・綿7%(うち再生PET80%)のストレッチ裏綿素材を使用しており、背中のボックスプリーツや変形ラグラン、肘の立体ダーツなど機能性を付与し動きやすさを追求。ポリエステル100%素材の長袖シャツも同時に展開する。

 クロダルマ(同府中市)は、日清紡テキスタイルの裏綿生地(植物由来14%使用)を使用した「693シリーズ」を展開。長袖ジャンパーでは企業納入向けを意識し、配色で大胆なデザイン性を打ち出した。

 近年では人手不足への対応策としてユニフォームの選定基準が変化しつつある。裏綿は今後の有力な選択肢として注目されそうだ。