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東レ/「ナノデザイン」と環境配慮融合/海外市場での拡販狙う

2025年07月03日 (木曜日)

 東レは、複合紡糸技術「ナノデザイン」による開発素材で環境配慮型タイプを拡充する。植物由来原料を使用した製品などを開発しているが、既存品も再生ポリエステル使いに置き換えていく。海外市場での販売拡大を念頭に置いた取り組みで、輸出は2026年度(27年3月期)から本格化する。

 ナノデザインで環境配慮型の製品では、高い水滴除去性を持つ撥水(はっすい)ストレッチ織・編み物「デューエイト」を23年に発表した。サイズの大きい凹凸の上に微細な凹凸を形成したマルチラフネス構造を取り入れ、PFAS(有機フッ素化合物)フリーで高機能化を実現している。

 「シルック」シリーズの最新製品「シルック美來」も環境配慮型の一つで、ナノデザインと植物由来PET原料を組み合わせた。ポリエステル原料のエチレングリコールを植物由来に置き換えており、環境負荷低減やビーガン(非動物性)に対応する。

 ナノデザインでは、16年に滑らかな風合いを持つ「ユーティーエス フィット」を市場投入して以降、天然シルクのような光沢感を持つ「キナリ」、和紙のような風合いの「カミフ」、しなやかな風合いとストレッチが特徴の「キューティクル」などを打ち出した。

 これらについても環境配慮型に切り替えていくとし、キナリとカミフについては再生ポリエステルを使った原糸の開発を終えている。ユーティーエス フィットとキューティクルも再生ポリエステルタイプの開発を進めている段階にある。

 ナノデザインを駆使した製品の輸出は一部始めているが、環境配慮型タイプの開発によって26年度から本格展開を開始する。8~10日にイタリア・ミラノの開催される服地見本市「ミラノ・ウニカ(MU)26秋冬」でもナノデザインを積極的に提案する考えだ。

 婦人・紳士衣料事業部の野村建太部長は「事業成長のためにもナノデザインは重要な技術。環境配慮型の開発加速と同時にブランド戦略を進め、三島工場をはじめとする国内原糸工場をしっかりと稼働させる」と強調した。