パテント・リザルト/繊維業界1位は東レ/特許での他社けん制力
2025年07月03日 (木曜日)
特許分析ソフトウエア開発のパテント・リザルト(東京都文京区)はこのほど、「繊維・紙・パルプ業界」の特許を対象に、2024年の特許審査過程で他社特許への拒絶理由として引用された特許件数を企業別に集計した「繊維・紙・パルプ業界 他社けん制力ランキング2024」をまとめた。特許審査過程で他社の出願に対して拒絶理由として引用された件数をもとに、競争上の影響力を数値化したもので、首位は東レ、2位は東洋紡、3位は王子ホールディングスとなった。
この調査は、24年1~12月に特許庁で審査された案件のうち、公開済みの特許で拒絶理由として引用された件数を集計した。けん制力とは、他社の出願が既存特許に抵触する可能性が高いことを示すものであり、技術的優位性や業界内での影響力を測る指標の一つとされる。
東レは1268件と圧倒的な引用数を記録。中でも「シリコーン密着性に優れた離型用二軸配向ポリエステルフィルム」「柔軟で耐熱性に優れた高性能ポリオレフィン系発泡体」が複数の企業による出願審査で引用され、先進材料分野における技術の強さが際立った。特許による影響を最も受けたのは三菱ケミカル(46件)で、大日本印刷(27件)と続く。
2位の東洋紡は、「吸湿/吸水発熱性を発現するおむつ」の特許がオルガノ、ユニ・チャームなど計9件の審査で引用された。また、東洋クロスと共同保有する「機能層を有する基材フィルムから機能層を短時間で効率的に除去する方法」も注目特許として位置付けられている。引用先では三菱ケミカル(28件)、東レ(22件)が挙がった。
3位以下には王子ホールディングス(397件)、帝人(345件)、大王製紙(308件)、ユニチカ(235件)、日本製紙(179件)、三菱製紙(136件)、レンゴー(113件)、グンゼ(112件)が続く。