東洋紡せんい 差別化素材に勢い

2025年07月08日 (火曜日)

 東洋紡せんいのユニフォーム事業部は、織物に近い物性を持つ編み地「コンフォネックス」や、2ウエーストレッチ素材「オールフレックス」など、差別化素材の販売を伸ばしている。

 2024年度は両素材とも販売量が前年比で倍増し、今年度(26年3月期)も25%増を計画する。さらに差別化素材の比率を高めながら増益を目指す。

 山本慎太郎ユニフォーム事業部長によると、24年度はポリエステル65%・綿35%の既存定番生地の販売が、値上げの影響による受注減により苦戦。ただ、コンフォネックスやオールフレックスといった新素材の伸長により、当初見込まれていた減収を回避し、売上高は前年度並みだった。

 コンフォネックスは、膨らみのある高捲縮(けんしゅく)糸と締め付け力のある弾力糸を使い、高密度で編み上げることでニットのストレッチ性はそのままに、織物に近い物性や風合いを実現。一部は「スクラムテック」ブランドとしてワークウエア用途へ販路を広げる。

 オールフレックスは、フルダル高捲縮糸を用いた素材で、優れたストレッチ性と防透性を備え、スナッグ(引っ掛かり)への耐性も高く、工業洗濯にも対応する高耐久性が特徴。食品白衣やメディカルウエアなど、衛生・耐久性が求められる用途での採用が進む。

 ポロシャツ向け高機能ニットシャツ地「Zシャツ」「Eシャツ」の販売も拡大。別注品としてサービス業向けの採用も広がっている。

 生産面では、ベトナムの縫製子会社・東洋紡ビンズンや周辺の協力工場を活用し、縫製OEMで安定した供給を実現。ビンズンでは卸売ライセンスも取得しており、欧州向けユニフォームの縫製工場に対し、日本企画の生地の販売を進める。

 グループ内工場で発生する端材や残糸・残反を再利用する「T2T」の仕組みを活用し、リネンサプライ向けにポリエステル100%素材を中心としたユニフォーム素材を提供。26年度から完全なポスト・コンシューマーリサイクルの事業化も始める。

 25年度は前期にあった別注の大型案件が一巡することから、前年度比10%の減収を見込むものの、高付加価値品への置き換えにより増益を計画する。