ITF東京2025(上)

2025年07月09日 (水曜日)

日本市場が注目すべき進化

 インドのアパレルとホームファッションの展示商談会「第16回インドトレンドフェア(ITF)東京2025」が、いよいよ来週15日から東京都渋谷区のベルサール渋谷ガーデンで開かれる。会期は17日まで。総勢約200社が出展し、進化し続ける同国の製品、モノ作りの魅力を発信する。

 インドの繊維・ファッション産業と聞くと、「安価な生地」「大量生産」といったイメージを浮かべる人は多いだろう。しかし現在、そのイメージを覆し進化を遂げている。日本市場が注目すべき進化は大きく3点だろう。

 一つ目はサステイナブル素材と伝統技術の融合。例えば、トレンド・セッターズ・インターナショナル(ニューデリー)は、綿などオーガニック素材にインド伝統の刺しゅうや織技術を組み合わせ、独自の世界観を構築してきた。婦人服を主体にデザインから手掛けており、米国、メキシコ、ブラジル、英国、スペイン、フランス、ロシア、日本と市場を広げている。

 二つ目は、品質と納期管理の高度化だろう。今回の出展者の多くが強みとする分野でもある。日本企業との取引経験を生かし、安定的な供給・検品体制を整えている。パス・インターナショナル(ジャイプール)は衣料品からホームファッションまで幅広く展開しており、高品質な製品をリーズナブル価格で提供。香港、欧米、アラブ首長国連邦にも輸出している。

 三つ目の進化は、ファッション性の高さと提案力。婦人・紳士・子供服を製造販売するレコグネイション(同)は、複数の世界的SPAブランドが主要顧客で、日本ブランドと協業した経験もある。マーケット感覚にたけた製品ラインアップを得意とする。いまやインドは、単なる“供給国”ではなく“共創パートナー”として選ばれる存在になってきた。