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ボーケン品質評価機構/最終製品まで一貫評価/ユニチカからUGT譲受で

2025年07月10日 (木曜日)

 ボーケン品質評価機構(ボーケン)は、ユニチカの試験・評価事業子会社であるユニチカガーメンテック(UGT、大阪府貝塚市)の全株式を取得し、9月1日付で子会社化する(一部既報)。両社はこれまでも業務提携を結ぶなど協力関係にあったが、今回の子会社化で機能性試験・評価分野を中心に加工剤から糸・生地、さらに最終製品までの一貫評価体制が強化されることになる。

 UGT子会社化に関してボーケンの吉岡陽一郎機能性事業本部長は「当機構は加工の機能性試験・評価や標準化された試験・評価に強みがある。UTGは製品使用時の人体生理測定や標準化されていない機能性評価などで高度な専門性を持っている。両社が融合することで加工剤から最終製品までの一貫評価体制を一段と強化できる」と話す。

 これまでも気化冷却性や持続冷感性の評価基準・試験方法を共同開発してきた。生地など素材の機能性を定量的に測定するだけでなく、UGTが保有する人体生理測定技術やサーマルマネキンなど特殊設備を活用することで人体が感じる“快・不快”の基準値を設定できることが強みになる。

 また、評価結果に基づく製品への表示サポートにも力を入れる。例えば猛暑対策に焦点を当てた機能性試験・評価は、6月から厚生労働省が職場での熱中症対策に罰則規定を導入したこともあり製品企画・提案の際に客観的なエビデンスが一段と求められるようになった。これに対してサーモグラフィによる温度変化の可視化などに加え、UGTのサーマルマネキンを使った衣服内やマネキン表面の温度変化などの評価データを提供することができる。これらを製品の機能性表示などに活用できる。

 UGTがグループに加わることで、今後も新規試験・評価方法の開発に力を入れる。UGTでの新たな設備投資なども検討する。