繊維ニュース

シキボウ原糸販売 フレキシブル強みに

2025年07月11日 (金曜日)

 シキボウの原糸販売は今期(2026年3月期)、グループの新内外綿との連携を一段と強化している。国内外の拠点を活用した多品種小ロット生産体制による「フレキシブルな対応」を強みとして増収を目指す。

 前期は、販売数量こそ減少したものの、原料高やエネルギーコスト上昇を背景とした値上げにより、売り上げは横ばいを維持した。今期は収益性の低い品種や定番糸の備蓄を抑える一方、差別化糸や別注糸の販売比率を高めることで、売り上げを横ばいから「右肩上がりに転じる」方針だ。

 従来、糸の海外生産におけるミニマムロットは7~8㌧であったが、最小1品種5㌧から、2品種同時発注の場合は各3・5㌧ずつの生産に対応するなど、小ロット対応を推進。こうしたフレキシブルな対応が奏功し、4~6月の業績は好調に推移している。

 シキボウのベトナム法人、シキボウベトナムでは、現地で糸の備蓄販売を始めており、同国市場や三国間貿易を視野に入れた提案を強化する。得意とする強撚糸や、連続シルケット糸「フィスコ」などを軸に展開。上質な風合いや光沢感が特徴の精紡交撚糸「デュアルシリーズ」では、甘撚り、普通撚り、強撚の3種をそろえ、50番手を中心に提案を進めている。

 デュアルシリーズの中でも、超長綿のスーピマなど原料にこだわった「プレミアムデュアルアクション」の「テンセル」リヨセル混タイプが売れ筋となりつつある。同原料の調達は小ロットでは難しいが、タイの商事会社JPボスコと連携することで調達を可能にし、グループのネットワークを生かした取り組みが軌道に乗りつつある。

 人材面においても、営業担当者が新内外綿へ異動するなど、グループ全体で相乗効果を生む体制を構築している。さらに、糸と丸編みニット生地の営業を兼務する人材を増員。糸と生地を一体で販売できる強みを生かしながら、より幅広いニーズを捉える。