特集 今治タオル産地(6)/機械編/広範囲にわたる変化に対応/イテマ/ピカノールとエディー/ストーブリ/伊藤忠マシンテクノス

2025年07月16日 (水曜日)

 生活様式や消費動向の変化に応じ、産地のモノ作り体制も改善が進む。製品の高付加価値化に加え、生産現場の課題解決を視野に入れた機器の提案も続いている。

〈イテマ/EVO型を今治に提案/省エネ性や操作性が向上〉

 イテマ(イタリア)の日本法人であるイテマウィービングジャパン(大阪府茨木市)は今治産地に向けて、タオル用レピア織機の最新機種「R9500EVOテリー」の提案を進める。R9500シリーズの第3世代機で、前身の「R9500―2テリー」の性能を進化させている。

 R9500EVOテリーは2023年のITMAミラノで発表された新機種で、既に今治産地でも導入されている。特にコンソールパネルの進化による扱いやすさや省エネ性などが好評を得ている。Wi―FiやBluetoothなど通信系機能も拡充された。

 タオル織機は前機種「R9500―2テリー」の提案も継続しており、当面はEVO型との併売になる。パイル形成装置は22年に発表されたR9500―2テリーの時点で改良されているため、引き続き根強い人気がある。為替が円安に進む中、EVO型より買いやすい価格のR9500―2テリーを求める声も多く、要望に応じて提案していく。

 上半期(1~6月)の受注はほぼ前年並みだった。ただ、1~2月が堅調だった後の3月以降は、今治以外の産地を含めて商談が鈍っている。先の市場環境に不透明感はあるが、7月以降の回復を狙う。

〈ピカノールとエディー/ウルティマックスを提案/扱いやすさなどに注目〉

 ピカノール(ベルギー)の日本総代理店を務めるエディー(大阪府東大阪市)は、今治産地に向けてタオル用レピア織機の最新機種「ウルティマックス テリー」の提案を進める。デジタル技術の活用による扱いやすさや省エネ性、安定した高速稼働などの面が評価され、引き合いが増えている。

 ウルティマックスは2023年のITMAミラノで発表したレピア織機の最新機種。日本での導入も始まり、今月は尾州の中伝毛織でのオープンハウスも開かれる。タオル用のウルティマックス テリーの提案も今治を中心に進めており、第1号機の導入を目指す。

 ウルティマックス テリーは、ピカノールの特徴であるデジタル技術を駆使した扱いやすさをベースに、生産性や省エネ性、レピアヘッドの耐久性などを向上させた。生産性は前機種に比べて10~20%向上している。

 パイル品質も評価されている。独自のパイル・モーター設定で生地を直接駆動させると同時にバックレストが動き、高速稼働でも正確にパイルを形成していく。軽量なタオルから重厚なバスマットまで幅広く対応する。

〈ストーブリ/大口ジャカードに引き合い/多様な品種に対応〉

 ストーブリの今治向けの販売は、昨年秋ごろから電子ジャカード機を中心に回復していたが、今年の前半は一服感が出た。ただ、6月ごろからは回復に向かっており、特に大口の「LXプロ」への注目が高まっている。

 電子ジャカード機は、全口数で新機種「プロ」シリーズが出そろい、日本でも導入が進んでいる。プロシリーズは、新システムの採用や電装ユニットの一新、省エネ性の向上などの特徴を持つ。

 日本で導入が多いのは2千口のSXだが、足元では大口(6千口)のLXプロへの引き合いが増えている。老朽化した織機の更新においては、総台数を減らしながらも汎用(はんよう)性を高める動きがあるためで、電子ジャカード機も大口化して、フェースタオルやバスタオル、タオルケットなどさまざまな品種に対応できるようにする要望が増えている。LXプロは日本では北陸や京都を中心に導入されているが、安定稼働などの面から評価を得ている。

 上半期(1~6月)の日本全体での販売は、主力の開口機(ドビー・カム機)の動きが鈍かった一方、ドローイング機など製織準備機は堅調に推移した。電子ジャカード機は6月ごろから回復に向かい、今治のほか、北陸や桐生などでも引き合いが増えている。

〈伊藤忠マシンテクノス/タオル用機械を幅広く提案/生産性向上や省人化に〉

 伊藤忠マシンテクノスは今治産地に向けて、品質や生産性の向上、省人化などにつながる繊維機械を提案する。

 製織機械では、ボーナス(ベルギー)の電子ジャカード機「Si」「Ji」の提案に力を入れる。特にSiは「アジャスタブルワープセパレータ」を備え、パイル糸とグランド糸の高さを個別に微調整する機能を持つ。この機能により、“ぶつ”の問題を軽減する。ボーナスの特徴であるカルダンシャフトレスを実現したスマートドライブへの注目も高まり、問い合わせが増えている。

 織機は、高生産性などが特徴の津田駒工業製のエアジェット織機に力を入れる。

 準備機では、梶製作所(石川県かほく市)と共同開発した部分整経機「KGA163C」の販売が進んでいる。今治、泉州タオル産地では既に6台を納入済みで、新たな引き合いもある。コストパフォーマンスの高さのほか、張力管理の数値化などタッチパネル操作による扱いやすさや操作性も好評で、リピートでの購入を検討する企業も多い。

 村田機械の自動ワインダー「AIcone」(アイコン)の提案にも力を入れる。染色用ソフト巻きなどで導入実績があり、高生産性やオートドッファー機能などが注目されている。