どうなる 産地の7~9月③/高島
2025年07月17日 (木曜日)
不安と期待が交錯
高島綿強撚織物産地では企業ごとに景況感が大きく異なっている。元々この時期は閑散期に当たるが、足元は全体的に暗めのムードに包まれている。
高島織物工業協同組合はサイジング工場を運営しているが、その受注量の減少が顕著と言う。「高島ちぢみ」を中心に衣料向けや寝装向けを生産する軽布系織布工場からの受注が一部を除いて減っており、資材系の厚織り工場でもユニチカの繊維事業撤退の影響を受けるところは苦戦を強いられているようだ。
この時期は次の春夏向けに定番品の見込み生産をしておき、指図が入れば出荷するというのが産地の常だったが、今では軽布系織布工場の多くがこの手法から脱した。「見込みで生産しても買い取ってもらえる保証が全くなくなった」ためだ。週休4日を導入したり、織機の減台に動く織布工場も出てきた。
目下堅調なのは、早くから多品種小ロット生産体制に切り替えていた木村織物(滋賀県高島市)や、レピア織機で麻やオーガニック綿使いといった「高島ちぢみ以外」の特徴を明確にするマスダ(同)などだ。染色や晒などで他産地からの仕事が急増する高島晒協業組合(同)も繁忙が続く。
商況は全体的に厳しめだが、「高島ちぢみの新作で大口が決まった」「問い合わせやサンプル依頼は例年よりも多い」といった声も聞かれ、26春夏向け本番を目前に控え、不安と期待が入り交じっている。