ニイハオ!/南通帝人総経理に就いた門脇 秀樹 氏/開発、品質、納期見直す
2025年07月18日 (金曜日)
帝人フロンティアのエース的存在である南通帝人の総経理に就任して、3カ月が経った。「密度が濃い時間を過ごしている。もう半年はここにいる気がする」と言う。
南通帝人とは入社直後に関わった。南通帝人とタイ・ナムシリ・インターテックスが生産する中肉織物を、日本の量販店向けアパレルメーカーに販売した。「南通帝人はまだ知名度が低く、生産アイテムも5品番ぐらいしかなかった」が、増勢基調にあった中国縫製向けの販売を少しずつ増やしていった。
当時、営業活動で連携した南通帝人のナショナルスタッフたちが現在、部長以上のクラスとして活躍している。「お互いによく知っており、非常にやりやすい。彼らは一様に、南通帝人をより良くしたいと思っている」
2003~07年は、織布・染色一貫でポリエステル織物を生産するタイ・ナムシリ・インターテックスに出向し、日本や欧米、中東向けの営業に携わった。「日系メーカーや商社と連携し、顧客に対応した。日本の同業他社との連携は、海外ならではの経験」と言う。
タイから帰任すると、帝人ファイバー(現帝人フロンティア)でインテリア向けの糸売りを担当。「それまでずっとテキスタイルだったため、糸のことは詳しくなかった」。しかし40代に差し掛かり、糸についてゼロから教えてくれる同僚は周りにいなかった。もんもんとする中、ある顧客から「情報を持っていないと始まらない」とアドバイスを受け、情報集めに精を出し、挽回していく。「能力が2分の1なんだから2倍働かなくては」と土曜日も含め、ひたすら働いた。
13年からは、帝人フロンティアの原料部門課長として、松山工場の生産のタイ工場への移管に携わった。同時に糸の「出口」の開拓に汗を流した。北陸企業と連携したビームサプライ事業や糸加工を強みに、家具・インテリアチェーン大手を新規開拓していく。
従来の糸営業は、産地への単純な販売が多かったが、「(この新規開拓を通じ)出口を見つけ、それに合わせてサプライチェーンを構築し、提案することが重要」と痛感した。この経験が、その後の部長時代に生かされていった。
今回の南通帝人の総経理としてのミッションは「開発、品質、納期の三つを原点に立ち返り、もう一度しっかり見直すこと」と言う。「品質と商品力があっての南通帝人」だからだ。さらに編み物の販売強化や、インドネシアの外注工場での設備投資など、「攻め」の投資にも積極的に取り組んでいく考えだ。
(上海支局)
かどわき・ひでき 1990年神戸大学教育学部卒、帝人入社。厚地織物を扱う部署に所属し、海外製生地を量販店向けアパレルメーカーに販売する。2003~07年タイ・ナムシリ・インターテックスに出向。07年から帝人ファイバー(現帝人フロンティア)でインテリア向けの糸売りに携わる。16年帝人フロンティア衣料繊維第一部門繊維素材本部原料部部長、19年同ユニフォーム部部長、20年同繊維素材本部部門長、21年衣料繊維部門衣料素材本部本部長。25年4月から現職。57歳。趣味はゴルフ、ランニング、マージャン。