LIVING-BIZ vol.120(7)/JBA/ボーケン/日本ふとん協会
2025年07月18日 (金曜日)
〈JBA/“強み最大化”軸に事業強化/ヘルスケア、SBI、防災など〉
日本寝具寝装品協会(JBA)は2025年度、“強みを最大化”する「ヘルスケア(HC)認定寝具」制度、「睡眠環境・寝具指導士」(SBI)の事業を軸に、業界の健全な発展と国民生活の向上に努める。6月の第12期定期総会で承認された。
健康経営優良法人企業の福利厚生としてHC商品の提案を強めるほか、防災型HC認定商品ガイドラインの策定を進める。SBIでは受験者拡大に向け厚生労働省団体検定認定を目指すとともに、初級編として「睡眠アドバイザー(仮称)」検定を立ち上げ、小売業にも普及させる。
西川八一行会長は、「政府の『骨太の方針2025』の全世代型社会保障の構築で、疾病や介護の予防、女性の健康支援、健康経営の推進などに睡眠が盛り込まれた。国も睡眠の価値を健康や持続可能な社会に重要と認識するようになったということ。関係省庁・団体と密に連携し応えていきたい」と話した。
24年度に寝具業界内外の環境を分析し、事業活動を「強み最大化」「強みで脅威に対処」「弱点を補強」「弱みを最小化」に分け、メリハリをつけて展開してきた。今年度はこれをアップデートする。
強みで脅威に対処では新たに、電子商取引(EC)での不適切な品質・表示を抑止する基準の策定、日本羽毛製品協同組合との協業による羽毛トレーサビリティー監査認証システム「J―TAS」新制度の研究を始める。
弱点の補強では、避難所の睡眠環境に関する最低限のヘルスケア基準の策定、災害や紛争被災者が尊厳のある生活を営むための国際的な人道支援の最低基準「スフィア基準」に沿ったユニット型備蓄システムへの寝具の基準導入策に関する調査研究に取り組む。
〈ボーケン/頼れる品質保証パートナー 寝装など30年の実績〉
ボーケン品質評価機構(ボーケン)は、消費者へ安心・安全な商品を提供するため、顧客と共同で品質保証を行うパートナーへ進化している。納品前検査や性能評価などの試験業務だけではなく、企画・生産・流通・販売・循環の商品ライフサイクル全般におけるアドバイス業務を含む品質支援、“人財”育成支援、サステイナビリティーへの取り組み支援など多岐にわたる。
1995年には生活産業資材事業本部を立ち上げ、家具や寝具、日用品、服飾雑貨など生活用品全般をサポート。今年で30年の実績を誇る。快眠・健康志向の高まりから増える高機能寝具の性能評価にも対応している。
生活産業資材事業本部は、マットレス、枕、クッションを主対象にした体圧分散性試験にも強い。ウレタン、3次元網状立体構造体、ラテックスなど素材が多様化する中、寝心地の良さや快適に眠れるかといった感覚的指標を客観的に評価する。人が寝た際に体の部位ごとにかかる圧力を色調で表示評価。体への負担軽減と睡眠の質向上に活用されるほか、福祉・介護分野でも注目されている。
家庭用品品質表示法に基づくウレタンマットレスの硬さや復元率の測定、JIS規格に基づくスプリングマットレスの耐久性試験、寝装用側地の燃焼性試験も実施。有害なホルムアルデヒドやVOC(揮発性有機化合物)の測定では、ベッドフレームを含め、材料評価だけでなく、実際の居住環境を想定した最終製品評価も可能だ。
「快適性」に関するニーズは引き続き高く、機能性事業本部で接触冷感や保温、吸湿発熱、吸水速乾、防汚性などを評価。最近は持続冷感など新しい評価方法の相談も増えており、評価方法の開発から機能・性能の“見える化”にも貢献する。安全で安心なモノ作りもサポート。重大事故を未然に防ぐ企画開発段階の支援から、工場QC監査、社員教育などトータルに支える。
中国・広州とベトナム・ホーチミンの海外拠点を活用し、生産地での迅速な試験・評価依頼に応える。海外業務提携先と連携しながら、ISOやGBなど国際規格の試験もできる充実した設備と豊富な知見を生かし、バリューチェーン全体の生産性向上にも貢献する。
〈日本ふとん協会/70周年で初の海外展〉
日本ふとん協会は、8月20~22日に中国・上海で開催されるアジア最大級のインテリア・ホームテキスタイル専門見本市「インターテキスタイル上海2025ホームテキスタイル」に初出展する。海外展への出展は初めて。協会創立70周年で世界市場へ挑戦する。
同協会が新たに立ち上げた日本製ふとんブランド「JAPAN FUTON」も発信し、日本の良質な眠り文化を紹介する第一歩とする考え。ふとん地製造卸の蔭山(大阪市中央区)との共同出展で、相互の専門性を生かし訴求力を高める。
〈6月の寝具市場 気温上昇で夏物動く 冷感系の販売伸長〉
6月の寝具市場は、月後半からの気温上昇で冷感寝具など夏物の売れ行きが好調だった。7月も全国的に平年より気温が高い予報が出ており、夏物の拡販が引き続き期待される。
寝具製造卸によると、チェーンストアの6月の寝具関連売り上げは、前年同月比微増だった。月前半は気温が上がらず苦戦したものの、後半は30℃超えの真夏日が目立ち、冷感系の敷パッド、ケットの販売が大幅に伸びた。特に第3週(16~22日)が30~60%前年同期を上回ったチェーンストアが目立った。
ファッションセンターしまむらの6月度(5月21日~6月20日)既存店売上高は、前年同月度比2.6%増、客数は1.2%増、客単価は1.0%増だった。「月度を通じて気温が低く推移したが、最終週に気温が上昇したことで婦人のアウター衣料、肌着、インテリア、寝具が売り上げを伸ばし、前年の売り上げを上回った」と要因を挙げる。寝具は6月第3週以降2週続けて2桁%伸びているとみられる。
ニトリは伸び悩んだ。6月の国内既存店売上高は前年同月比6.4%減。既存店の客数は9.2%減だったものの、客単価は3.1%増だった。「前半に天候の影響を受けたことにより客数が大幅に落ち込み、厳しい戦いとなった。後半は気温の上昇とともに客数が前年を上回る水準まで増加したものの、落ち込んだ客数をカバーするには至らなかった」としている。