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東レスポーツ・衣料資材事業部 次期中経は三つに挑戦

2025年07月22日 (火曜日)

 東レのスポーツ・衣料資材事業部は、持続的成長に取り組む。中期経営課題の最終年度である2025年度(26年3月期)は、中経の計画を上回る数字の達成を目指し、26年度からの中経につなげる。次期中経では、スキーや猛暑対策など、三つの分野・領域の育成・拡大に挑戦する。

 スポーツ・アウトドア市場には減速感も見られる。アウトドアは底堅さがあるものの、ブームは一巡した。スポーツはアスレやゴルフが一時と比べて勢いを欠く。他方、スポーツ・アウトドア向けの機能素材がファッション分野で採用されるケースが増えている。

 そうした状況の中で、スポーツ・衣料資材事業部は順調な動きを見せている。中園真介部長は「現中経の3年間は、アウトドアがけん引役を務めているほか、スポーツ素材のカジュアル分野への落とし込みがうまくいっている」とし、中経で掲げた計画は「上回れる」と話す。

 次期中経でも引き続きアウトドア分野をコアに設定し、防水透湿素材「ダーミザクス」、ケミカルリサイクルナイロンをはじめとするサステイナブル素材などの拡販によって事業の成長を図る。同時に、スキー分野の再拡大などの取り組みにも挑戦する。

 中園部長は「国内では、スキーを楽しむ若者の増加や訪日外国人需要で市場が盛り上がっている」と説明。また、「中国ではスキー人口が2千万人以上とされ、可能性は大きい」とした。スキーウエア素材は、同社スポーツ素材の中で大きなウエートを占めていた時期もあり、その復活を期す。

 猛暑対策素材にも伸び代があるとみる。遮熱・遮光・UVカット機能を持つ「サマーシールド」の拡販を図る方針で、自治体や企業向けの傘を自社で生産することも視野に入れる。そのほか、遮熱性・防透性・紫外線遮蔽(しゃへい)性などを併せ持つ「ボディシェルEX」、高通気の「ドットエア」も重点素材になる。

 そのほか、スポーツテクノロジーの追求にも力を入れる。「素材・生地の力で選手のパフォーマンス向上を支えたい」とし、「それができるのは原糸開発から取り組んでいる東レだけ」と自負する。28年のロサンゼルス五輪に向けて、生地の開発を進めている段階にある。