繊維ニュース

繊維関連企業/推し活市場に新たな商機/OEM軸に連携・協業を

2025年07月24日 (木曜日)

 拡大基調が続く推し活市場に目を向ける繊維関連企業が増えてきた。幅広い業種の企業が参入する中、繊維関連企業はOEM・ODMを軸に連携や協業の可能性を探り、得意とする技術や強みを打ち出すことで需要を取り込む。成長市場にビジネス機会を求める企業の中には検査機関の姿もある。(桃井直人)

 推し活とは、アイドルや俳優、アニメキャラクターなどをさまざまな形で応援する活動を指す。グッズの購入からイベント参加まで活動の内容は多岐にわたる。個人としての楽しみだけでなく、企業や施設における新たな顧客接点・プロモーションツールとしても注目度が高まっている。

 今月に東京都内で開催された「推し活EXPO」は、推し活に関わるグッズやノベルティー、製品企画に特化した専門展。前回を上回る出展者数と展示スペースとなり、さまざまなグッズやサービスが提案され、OEM・ODMで新たなビジネス機会をうかがう繊維関連企業の姿が目立った。

 その一社が、ハンカチ大手のブルーミング中西(東京都中央区)だ。ハンカチやポケットチーフ、スカーフなどで実績を重ねてきたOEM部隊だけでなく、業務用リネンを企画・製造するホテル事業、リテール事業、ホールセール事業などが参加し、全社横断的に出展したのが特徴的だった。

 関心を集めたのが海島綿を使用したハンカチで、108色(推し色)という豊富なカラーバリエーションが来場者の目を引いた。また、ご当地推しや動物キャラクターなどで雑貨やリネン類を製作し、グッズから空間演出まで一体感のあるコーナーも設けた。

 各種織ネームを製造・販売する増成織ネーム(同千代田区)は、300~400種類のアイテムを取り扱うが、織ネームで培った製織技術を生かしたお守りやネックストラップなどを得意とする。東京・秋葉原にショールームを常設しており、「情報を受発信しているのも強み」と話した。

 抱き枕で高いシェアを持つエイアンドジェイ(京都市)は、昇華転写プリントを得意とする企業。ユニークなのは抱き枕専用の生地を独自に開発していることで、「ライセンサーが求める色を忠実に再現できる」と自信を見せる。中わたも独自品とするなど、細部にもこだわる。

 ボーケン品質評価機構(ボーケン)は、品質の重要性を展示会で訴求した。推し活グッズは価格が高くなる分、ユーザー(消費者)の目も厳しくなっていると指摘。その上で「試験はもちろんだが、ボーケンには品質支援事業がある。推し活参入企業の品質向上に貢献したい」とした。

 矢野経済研究所が実施した国内「オタク」市場調査では、主要16分野のうち、アニメやフィギュアなどの14分野が成長を遂げた(2023年度)。24年度は、成長分野が12にとどまる見通しなど、若干ながら落ち着きも見える。成熟に向かう市場に対し、どのような価値を届けるのかが、参入を目指す企業に問われる。