特集 安心・安全(3)/難燃・防炎/暑熱下でも快適性保つ/クラボウ/村上被服
2025年08月06日 (水曜日)
調査会社のIMARCグループによると、日本の難燃材市場規模は2024年に約6億1400万ドルに達し、25~33年にかけて年平均成長率約3・9%で成長、33年には約8億6500万ドルに拡大が見込まれている。労働安全への意識の高まりを背景に、需要が活発化。従来の難燃・防炎素材にはなかったストレッチ性や通気性といった機能を備えた複合素材の開発も進みつつある。
〈「ブレバノ」で裾野拡大/EC開設、潜在需要探る/クラボウ〉
クラボウは、ユニフォーム用途へモダクリル・綿混を中心とした素材難燃「ブレバノ」の販売を拡大している。他の機能素材との組み合わせでより独自性を発揮する。暑熱下での安全・快適な作業環境へのニーズに応える。
モダクリル・綿混を中心とした防炎性・静電気帯電防止性の「ブレバノ・プラス」には売れ筋の高通気・ストレッチの「ジェットエアー」を複合。ドビーで膨らみを持たせ、着心地の良さも追求しており、市場には少ない「難燃性+高通気」というニーズを捉える。
溶接作業用途に最適な綿100%を中心とした後加工難燃「プロバン」でも、摩耗・引き裂きに強い加工「タフコットン」や、フッ素フリーの撥水(はっすい)加工「アクアマジック」と組み合わせた素材を開発。
7月にはワークウエア専門の電子商取引(EC)サイト「ニューライフワーカーズ」を開設した。エンドユーザーの声を通じて「素材開発につながる潜在的なニーズを捉える」のが狙いとなる。ブレバノを採用した山田辰(大阪市城東区)、桑和(岡山県倉敷市)のカタログ定番商品を買うことができる。
また、暑熱下での体調管理システム「スマートフィット」とともに、より扱いやすい腕時計型の熱中症対策バンド「I―BOW」(アイボウ)の販促も強化。二つのセンサーで外気温と皮膚温を測定し、独自のアルゴリズムで深部体温を推定。暑熱リスクをリアルタイムで通知する。このようなタイプは従来、使い捨てが多かったが、I―BOWは充電式で繰り返し使える。
〈内外諸規格の基準クリア/幅広い製品構成も魅力/村上被服〉
ワークウエア製造卸の村上被服(広島県府中市)が展開する「HONO」(ホノー)は、難燃・防炎加工を施した綿100%のワークウエアをラインアップするブランドで、火を扱う専門家の作業に特化する。高い水準の難燃性を示し、各種基準にも適合する。革新的なデザインと幅広い製品構成も魅力だ。
物質が燃焼を続けるために必要な最小の酸素濃度を示す、LOI値は、26以上の数値で難燃性があると評価される。これに対し、同社が独自に開発した難燃・防炎素材は、29・2の高い水準の難燃性を示す。さらに、着火しても炭化して燃え広がらず肌に貼り付く危険性も低い。
耐炎や耐熱、制電など日本防炎協会が定める基準に適合する。耐炎性能試験や耐熱性能試験、摩擦帯電電化量測定法、引張・引裂強さなどJISやISOの定める各種基準もクリアし、企業納入向けに提案しやすい。
1社だけでさまざまなアイテムがそろう、ラインアップの幅広さも強みだ。ブルゾンやパンツ、シャツ、溶接服などの定番アイテムに加え、ツナギ服や防寒ブルゾン、溶接帽子、腕抜きなどの雑貨までそろう。電動ファン(EF)付きウエアも展開。25秋冬向けに、中わたとファスナーテープまでも難燃素材を使った防寒ブルゾンと防寒ベストも新たに発売した。
いずれも、旧来の作業服の格好悪さを打ち破るクールで革新的なデザインに仕上げた。