LIVING-BIZ vol.121(6)/テンシャル/「ITF東京2025」/良品計画「無印良品」/昭和西川

2025年08月07日 (木曜日)

〈テンシャル/健康経営支援を本格化/企業寮に製品初納入〉

 リカバリーウエア「バクネ」などを開発・販売するテンシャル(東京都品川区)が、健康経営のサポートを本格化している。このほど開業したシェア型企業寮「トライアルハウス“タメス”」全39室に、バクネシリーズの4製品を納入。睡眠環境をはじめ、入居者のコンディショニングを総合的に支える。

 これまでも製品の開発・販売にとどまらず、健康経営への寄与を目的に、多様な企業と睡眠における実証実験や睡眠セミナーを実施してきたが、企業寮への製品納入は初となった。

 タメスは、7月にオープンした三菱地所とIHIによる東京都江東区の複合施設「豊洲セイルパーク」内にある。「試して“ミ”になる」をコンセプトに、暮らしに関わる実証実験や健康経営に資する取り組み、入居企業同士の交流を通じて人材育成を図る。

 その方向性が、テンシャルの「健康に前向きな社会を創り、人類のポテンシャルを引き出す」というミッションと共鳴。一般医療機器のリカバリーウエアをはじめ、機能性掛けふとん、ボックスシーツ、枕の「バクネ」シリーズ4種が採用された。協力して、企業の健康経営の増進に貢献するモデルケースの構築を目指す。

 近年、寝具製造卸でも健康経営をサポートする取り組みが盛んに行われている。中でもnishikawaは、睡眠改善プログラムの提供や仮眠スペースの導入促進など多様な切り口で展開。今春には伊藤忠商事の新女子寮97室全室に、高精度センシングマットレス「[エアーコネクテッド]SXマットレス」を納入した。

 睡眠アプリ「グーモ」と連携して、各自の睡眠を可視化・分析・適切なアドバイスを提供。スマート家電との連携も可能で、より快適な睡眠環境を提案している。

〈「ITF東京2025」/HFでも活発な商談/値下げ要求に困惑も〉

 7月中旬に都内で開かれた「インドトレンドフェア(ITF)東京2025」では、200社近いインド出展者のうち、約50社がホームファッション(HF)をメインに打ち出し、活発な商談が行われた。

 東インド会社(ムンバイ)は、テーブルリネンやタオル、ベッドリネン、エプロン、ルームウエアなどを提案した。主な輸出先は欧米で約40年の実績がある。近年は対日輸出に力を入れ、ITF東京には2度目の出展。その前の大阪での展示会を含め、取引先を着々と増やしてきた。

 今回はブルーと白を基調としたコーディネートで、既存取引先を中心に堅調。新規商談も複数あったが、成約には至らず会期後の営業フォローにかける。マニシュ・シャー社長は「興味を示してくれているが、今まで以上に値下げを迫られた」と話す。だが、「日本経済は必ず上向くと思うので、継続して働き掛ける」と前向きだ。

 プールニマ・ハンドクラフツ(ジャイプール)は、手工芸と家庭用品を得意とする。手仕事のブロック染めやスクリーン染色、絞り染め、刺しゅうといった伝統技術を生かす。「職人技による持続可能性の追求と雇用の創出が注目され、『ストーリーのある提案ができる』などと評価されたが、本格的な商談はこれから」と言う。

 コロネーション・エクスポーツ(同)は、クッションや敷物、ソファ、布張りイスなどを企画製造している。今展ではインドの伝統文様を刺しゅうした装飾的なタイプ、シンプルでモダンなタイプとも関心が持たれた。

〈良品計画「無印良品」/再生羽毛の寝具投入/基本商品から次の段階へ〉

 良品計画は、25秋冬向け「無印良品」で、「カバーがなくても使える 洗える羽毛薄掛けふとん」を企画した。詰め物は再生羽毛100%で、昨年から店頭回収する不要寝具の羽毛も一部含まれる。

 “感じよい暮らし”の実現に向けた住空間商品の見直しの一環。丸ごと洗えることからカバー不要を掲げ、防ダニ加工も施した。シングルサイズ1万4900円から。

 再生羽毛を用いた一般家庭向け寝具は、ニトリなど一部で見られるが、大半は宿泊施設や病院・介護施設など業務用が占める。無印良品では、染め直しやパッチワークなど衣料品アップサイクルの「ReMUJI」(リムジ)が好評なことから、一般向けに始めると言う。開発に際し、最初から再生羽毛100%にこだわった。使わないときは綿袋に小さく収納できる。

 住空間商品の見直しではほかに、軽いため移動や部屋の掃除がしやすい「空気でできたソファ」のバリエーションを増やした上、新たに「空気でできた敷ふとん」を発売する。空気で膨らませて使う。枕用に一部高めに設計し、単身世帯の省スペースはもちろん、急な来客や感染症での家庭内隔離にも訴求する。

 生活雑貨部管掌の嶋崎朝子上席執行役員は、「この2年間、日用品や美容関連を中心に生活の基本となる商品開発を徹底してきた。25秋冬はその完結シーズン。今後は生活がより便利で豊かになるテキスタイルや家具も拡充したい」と話した。

〈昭和西川/ECで敷ふとん人気〉

 昭和西川で敷ふとんが人気だ。2020年から集計した自社電子商取引(EC)サイトでの敷ふとんの累計販売枚数が3・3万枚を突破した。24年6月と25年6月それぞれの累計販売枚数を比べると、前期比売上伸長率は32%増となった。

 5年弱での累計販売枚数3万3859枚を並べると、東京ドーム1・5個分に相当。100%日本製にこだわった信頼と関心の高まりと受け止めている。

 購入者からは「20年ぶりに敷ふとんを買い替えた。悩むこと数年、やっと価格、使用感ともに満足できるおふとんに出会えた感じ。寝返りがとても楽です」「ウレタン素材の敷ふとんで寝ていたが、数段寝心地がいい。寝起き時の腰痛も軽減しているように思う」などの声が寄せられている。