特集 東海産地(5)/東海を支える商社/豊島・浜松支店/信友・原糸部

2025年08月08日 (金曜日)

〈豊島・浜松支店/多様な生地を海外に拡販〉

 豊島・浜松支店(浜松市)は欧米向けに販路を持つ十部一課などと協業し、海外向けの販売を増やしたいとする。電子商取引で生地や副資材を扱う「テキスタイルネット」(https://www.textile-net.jp/)や生地備蓄販売「HTシリーズ」の充実度や使いやすさへの改善を続けている。

 遠州の製織、染色整理、産元企業などと取り組み、綿や麻の織物生地を軸に開発・販売事業を展開する。納期の長期化が課題だが、新たな生地の開発を積極的に行い、輸出を絡めながら拡販を進める。

 テキスタイルネットは顧客の視点を大切にし、利便性を高める。豊島と国内の生地商社など約20社が扱う生地・副資材・型紙などおよそ6千品種の商材を販売。生地選びに役立つ情報のコンテンツや、用途に最適な生地を選びやすくなるように仕様の改善を続ける。

 生地備蓄販売「HTシリーズ」では定番的な綿混織物を軸に、ユニフォームや雑貨向けにも適した生地を扱う。

 十部の湯田章一郎部長は「輸出の拡大は重要だ。取引先ならびに当社の現地法人と連携を取りながら推し進めていく」と話す。

〈信友・原糸部/産地特性に合う原糸販売を〉

 信友・原糸部は東海の各産地をはじめ、全国に存在する産地企業の需要に合わせたきめ細かい原糸の提案を進める。化合繊糸や長短複合糸の提案も強化している。衣料品だけでなく資材、ユニフォームなど幅広い用途に供給領域を広げる。

 井川康彦取締役原糸部長は「産地企業への原糸販売を大事にし、適切な商材の供給精度を高める」と話す。綿糸を質・量とも豊富に扱いながら販売を進めるだけでなく、和歌山や北陸産地向けには合繊糸や複合糸の販売強化を図る。競合他社が扱い品種を絞り込む傾向もある中、幅を持たせた提案で販売増を狙う。

 産地を知りつつ特徴に合わせた提案を可能とするのが強み。尾州向けには梳毛糸の販売は底打ち傾向にあるが、紡毛糸は猛暑期が続くと動きは鈍いとみる。三河の資材向けは堅調。北陸には合繊糸や綿と合繊の複合糸の販売を強化する。ユニフォームや産業資材向けの需要増が期待できる。

 昨年取得した5種の国際認証も生かす。大阪原糸課と名古屋原糸課が収集した情報を共有し、原糸の備蓄や産地間連携にも対応する。