ごえんぼう
2025年08月13日 (水曜日)
取材では、生い立ちを含めてさまざまな話を聞く機会がある。戦争体験もその一つだ▼大手インテリア小売チェーン「カーテン・じゅうたん王国」の会長を務めた故・森本宏明氏は、5歳の時に神戸大空襲に遭って多くの死を目撃し、父親がフィリピンのルソン島で戦死した▼戦中、戦後しばらく貧しい生活を強いられた幼年期の経験から、経営者として成功しても食べ物を無駄にせず、リンゴやカキの皮まで食べる、スイカは白い部分まで食べて、残り部分を漬物にして味わうと言っていた▼戦争を体験した取材対象者が高齢になって引退したり、亡くなったりと、当時の話を聞く機会がめっきり減った。しかし、戦争は過去のものでなく、現在も世界で続く。イスラエルの封鎖によるパレスチナ・ガザ地区では、食料不足で集団飢餓が起き、栄養不良で亡くなる子供が増えていると報道される。戦後80年の節目だが、やるせなさが募る。