繊維ニュース

合繊メーカー 構造改革は進展

2025年08月13日 (水曜日)

 合繊メーカーの2025年4~6月期決算は、全社ベースで増益となる企業がある一方で、繊維関連事業は減益となる企業も相次ぐなど事業環境の不安定化が鮮明になっている。ただ、各社とも低採算事業領域に対する構造改革が一段と進展した。

 減益決算が相次ぐ中、東レの繊維事業は減収ながら増益を確保した。衣料用途は欧州市場の市況などが低迷する中でも総じて堅調に推移した。産業用途は自動車関連の市況が本格回復には至らなかったが、コスト削減の成果が出ている。一方、炭素繊維複合材料事業は減収減益。航空宇宙用途が回復基調だが、円高が収益を押し下げた。一般産業用途も調整局面が続く。

 帝人もマテリアル事業が大幅減益。ただ、アラミド繊維と炭素繊維はともに構造改革が進展しており、アラミド繊維の大型定期修繕が減益要因だった。繊維・製品事業は経費増加で減収減益だが、販売は衣料繊維と産業用繊維ともに堅調だった。

 旭化成のマテリアル事業は減収・大幅減益。うち繊維関連のカーインテリア事業は390億円(前年同期比1・3%減)、営業利益21億円(28・4%減)だった。販売量は増加しているが販管費増加や円高の影響が収益を押し下げた。同じく繊維関連を含むコンフォートライフ事業は売上高608億円(4・5%減)、営業利益41億円(27・7%減)となる。こちらも円高の影響があったほか、繊維事業の販売量も減少した。

 東洋紡は環境・機能材事業は大幅増益だった。樹脂・ケミカル事業が堅調だったことに加え、環境・ファイバー事業も不織布マテリアル事業の国内生産体制見直しなどで収益が改善した。一方、機能繊維・商事事業は減収・大幅減益。衣料繊維は中東向け生地の好調が続き、スポーツ用途も不採算商材からの撤退が進んだが、エアバッグ用基布が日系取引先の減産の影響で販売量が減少した。

 事業再生計画を実行中のユニチカは機能資材事業と繊維事業がともに黒字浮上した。機能資材事業は価格改定の効果が発現し、不採算販売の見直しにより収益が改善した。繊維事業もユニフォーム用途の増販や不採算販売の見直し、価格改定の効果が出ている。