大手学生服スクールスポーツ/自社ブランド育てる/ニーズ捉え採用拡大へ
2025年08月13日 (水曜日)
学生服メーカー大手3社のスクールスポーツ事業において、他社との差別化を図るため、自社ブランドを育てる動きが強まっている。ユーザーのニーズに応える商品を充実させつつ、採用校の拡大に向けて提案を強化している。(秋山 真一郎)
明石スクールユニフォームカンパニーは、新たな自社体育着ブランド、「FEEL/D.」(フィール/ディー)を打ち出している。今年の春が初年度となったが、約50校の採用を得るなど手応えをつかむ。
同ブランドの商品は、防風やメッシュなど複数のパーツから成り、体の部位によって素材を変えて機能性を高めている。立体裁断を取り入れるほか、デザインもシンプルに仕上げた。
中新慎司営業企画本部営業第二部長兼スポーツ営業課兼AC営業課長は「素材、機能性パターン設計が受け入れられた」と話す。来春以降も商品数を充実させるなどして販売増につなげる。
スクールスポーツ市場でシェアトップを誇る菅公学生服は、継続して自社の「カンコー」ブランドの提案に力を入れている。主力となるのが「カンコープレミアム」だ。軽量性や耐久性、防風性などを兼ね備える生地、「グランガード」の機能性の高さや、高級感のあるシンプルなデザインで評価を得る。「順調に販売が伸びている」(勝山裕太営業本部企画推進部スポーツ企画推進課長)と言い、累計採用校数は約650校になった。
同ブランドは主に高校がターゲット。一方で、近年はカンコーブランドで中学校向けの商品ラインアップの充実も図っており、こちらも実績が出てきた。
昇華転写プリントでの提案を強みとするのがトンボだ。自社ブランドの「ビクトリー」では、独自の軽量ポリエステルニット「ピステックス」が好評を得たことに加え、デザインを自由に表現できる昇華転写プリントの強みも評価され、今春は採用校増につながった。今春の入学商戦では、同社の新規獲得校の約半分が昇華転写プリントを採用するなど、ニーズが高い。
同社は社内に昇華転写プリント生産機能を持つ。昨年からは、紅陽台物流センター(岡山県玉野市)に隣接する新たな昇華転写工場が本格稼働を開始。今春の納期対応にも貢献した。今後は自動裁断機(CAM)とプレス機の導入も計画するなど、設備増強も行う考えだ。
近年は日本各地で記録的な猛暑が襲うなど、体育着の着用環境も変化している。吸汗速乾やUVカット機能など、各社は着用者が求める商品の開発を引き続き進める。