ごえんぼう

2025年08月14日 (木曜日)

 明日15日は終戦の日。この日は例年通り、日本武道館で政府主催の全国戦没者追悼式が行われる▼親族を戦地で失った筆者の感情は複雑だ。現在の平和を享受する一方で、先の戦争を止められなかった軍や政府に憤りを禁じ得ない。民間人の一兵卒だった大叔父は、南方戦線で命を落とした。遺骨は戻っていない▼あるファッションデザイナーに誘われ、文化学園服飾博物館(東京都渋谷区)を訪問した。現在「戦後80年企画・衣服が語る戦争」という展示を行っている(9月20日まで)。戦勝への期待の中で作られた着物、物資不足の節約生活で製作したもんぺや国民服、同時期の欧米のドレスを展示している▼中でも「戦争柄」と呼ばれる、戦争の情景を図案化した着物の柄に目が留まった。庶民で流行したのは兵隊や戦闘機、軍艦の絵柄。見ていて悲しくなる。戦争が及ぼす歪んだファッションの価値観。次代には伝えたくない。