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綿紡績大手 コスト増響き減益目立つ

2025年08月14日 (木曜日)

 綿紡績大手の2025年4~6月期連結決算が出そろった。繊維事業では、高付加価値製品の販売増や海外販売の好調によりシキボウが黒字化した。一方で、原材料費や人件費のコストアップが続き、減益が目立った。

 黒字転換を果たしたシキボウは、原糸販売で高付加価値品の拡大や、中東民族衣装向け生地輸出の好調が利益に大きく貢献。電動ファン(EF)付きウエア用途や高通気のユニフォーム地の販売が好調だったこと、羽毛側地の市況回復も増収に寄与した。

 クラボウは、原綿改質機能糸「ネイテック」の販売が順調に推移し、原糸販売は増収だった。ユニフォーム地や国内SPA向け生地の受注減に加え、安城工場(愛知県安城市)の閉鎖準備に伴う異常操業費用が響き、営業赤字に転落した。

 富士紡ホールディングス(HD)の生活衣料事業は、インナーの「BVD」など繊維製品でウェブマーケティングを強化し、海外販売は好調だった。国内市場では量販店の店舗減少や原材料・資材価格の高騰が続き、粗利率が低下。繊維素材も人件費やコスト増の影響を受けた。

 日東紡の資材・ケミカル事業は、価格改定により売上高は前年同期を上回ったものの、原材料などのコストアップが響き、利益が大きく減少。接着芯地の製造販売を主力とする繊維事業子会社の日東紡アドバンテックス(兵庫県伊丹市)は、秋冬向けの販売が堅調で、増収・微増益だった。

 日清紡HDの上半期(1~6月)は、売上高165億円(9・8%減)、営業利益4600万円(前年同期1億6300万円の損失)となり、減収ながら黒字転換した。シャツ事業は形態安定の「アポロコットシャツ」やドレスシャツ素材の受注減により、減収・損失拡大と苦戦。一方で企業別注品の受注増がユニフォームの増収・損失縮小につながったほか、ブラジル拠点のコスト減が奏功した。