ごえんぼう
2025年08月19日 (火曜日)
近未来を題材にした映画や小説は多い。サイエンスフィクションと呼ばれ、文字通り虚構の世界なのだが、その中で描かれ、後に現実となった技術もある▼日本のSF作家といえば、星新一さんを挙げる人は少なくないだろう。ショートショートを得意とし、「ボッコちゃん」や「おーい でてこーい」などが知られている。数多くの作品を残したが、「価値検査器」もなかなか面白い▼あらゆるモノの価値を知ることができる検査器を手に入れた男の話。商品や土地、人などの価値が一瞬で分かるため、男は成功の道を歩き続ける。最後は自分の価値を調べるのだが、星作品らしい皮肉の効いたオチになっている▼久しぶりに読み返し、そんな機器があれば便利と思うと同時に、価値とは何かと改めて考えた。それは人や時代で大きく変わるはず。誰にとって価値があるのか、見極めは欠かせない。現実のビジネスは、小説よりも厳しい。