ごえんぼう
2025年08月20日 (水曜日)
「最近は社員の離職を引き留めるのにも一苦労。大変な時代になったもんだ……」とこぼすのは、ある繊維関連企業の社長氏だ▼統計上で如実に表れているわけではないが、売り手市場の今、「最近の若者はすぐ辞める」との愚痴が、多くの社長の口から漏れる。テレビやネットは転職を促すCMであふれ、「辞めさせ屋」なる退職代行業まで現れた▼離職者が相次ぐと、職場環境の悪化、採用コストの増加、人材育成の困難化――などのデメリットが生じる。改善策としては、職場環境を整える、企業ビジョンへの共感の促し、福利厚生の充実、給与の引き上げ――などが有効とされる▼冒頭の社長氏は、盆や正月など長期休暇の前に必ず社員と飲みに行くそうだ。休暇明けの退職者が多いという経験に立ち、その前に愛社精神を高めてもらい、離職を回避したいとの思惑がある。効果は果たしていかほどか……。裏目に出ないことを祈る。