特集 スクールスポーツウエア(3)/スクールスポーツ事業 各社取り組み/デザインや機能性を追求/菅公学生服/トンボ
2025年08月20日 (水曜日)
〈カンコーブランドが好調/既存校MCを強化/菅公学生服〉
菅公学生服は自社の「カンコー」ブランドの体育着の販売が好調に推移している。
中でも、防風や耐久性といった機能面が充実する「カンコープレミアム」の販売が堅調だ。今春は新規校の獲得と既存校のモデルチェンジ(MC)で80校ほどの採用につながり、累計採用校数は約650校となった。
カンコーブランドでは中学校向けのアイテムのバリエーションも充実させており、この効果による採用も増えた。
ライセンスブランドでは、ファイテンとのダブルネーム「カンコー×ファイテン」が順調に販売を伸ばす。ファイテンの認知度の高さなどから、スポーツ強豪校などで採用が進む。勝山裕太営業本部企画推進部スポーツ企画推進課長は「バレーを専門にしている先生などから反応が良い」と話す。
昨年発表した、スクールバッグやゴルフバッグなどのOEM生産を手掛けるEQ japan(千葉県松戸市)のスポーツブランド、「ブルイク」とのコラボレーション体育着、「カンコーブルイク」は初年度となった今春、私学を中心に4校に採用された。これまでにあまりなかったニュアンスカラーのほか、シルエットなどで評価を得る。同社とも連携して営業を進めており、来春に向けても数校の採用が決まっている。
今春の入学商戦では、新規注文の締め切りを早めるなど早期対応を徹底したことによって、安定生産、納品につなげることができた。経年の長い体育着を採用している学校へのMC提案にも注力したことで、現在の主力素材に置き換えることによるコスト削減に加え、「値上げを含めたMC」にもつなげることができた。これらの施策などによって、スクールスポーツ事業では2025年7月期に増収増益を確保した。
〈今春は新規受注で目標超え/ビクトリーなど貢献/トンボ〉
トンボのスポーツ商品本部は今春の入学商戦で目標を上回る新規受注を得た。
自社ブランドの「ビクトリー」が採用校を増やした。独自の軽量ポリエステルニット「ピステックス」などで評価を得る。同社が得意とする、自社で設備も持つ昇華転写プリントのデザインも好評だ。今春は、新規納品校の約半数が昇華転写を採用した。
ライセンスブランドの「アンダーアーマー」も2023年の入学商戦での投入以降、販売を伸ばす。採用校数は累計で200校超となった。同じくライセンスブランドの「ヨネックス」は今春に50校の新規採用を得た。
今春は新規受注の締め切りの早期化といった確実な納品に向けた取り組みに加え、昇華転写設備の増強などによって安定した納品にもつなげることができた。原材料費などさまざまなコストが上がる中、価格改定も「理解いただき、おおむね順調に進んでいる」とする。新規獲得や価格改定も奏功し、同本部の25年6月期は増収を確保した。
来入学商戦に向けては、ビクトリーとアンダーアーマーを軸に採用拡大につなげる。昇華転写プリントのデザインに加え、素材、パターンに焦点を当てながら、各ブランドの新商品の開発にも注力する。
生産面では、来春の入学商戦に向けて備蓄生産を順調に進めている。生産力の増強も図る。縫製のトンボ倉吉工房スポーツ館(鳥取県倉吉市)は現在3ラインで稼働するが、今後は4ライン体制の構築を目指す。昨年から本格稼働を始めた、紅陽台物流センター(岡山県玉野市)に隣接する昇華転写工場でも、CAM(自動裁断機)とプレス機を導入するなど、設備の増強を行う。