特集 スクールスポーツウエア(5)/スクールスポーツ事業 各社取り組み/デザインや機能性を追求

2025年08月20日 (水曜日)

〈小ロット対応に強み/ミツボシコーポレーション〉

 服飾資材商社のミツボシコーポレーション(広島県福山市)はスクールスポーツ向けで、小ロット対応などを強みに受注獲得につなげている。

 同社の中でも重要な立ち位置なのが、自社工場の金沢工場(石川県かほく市)だ。スポーツウエアやユニフォーム向けのラッセルテープやラッセルリブ、パイピング、横編みジャージーなどを生産する。スクールスポーツ向けでも経編み、横編みのテープやパイピングなどの資材を生産している。

 また、同社は学生服関連企業が集積する児島地域に岡山支店(岡山県倉敷市)を置く。スクール分野で扱うアイテムではスクールスポーツ向けの比率が高いのも特徴だ。副資材の供給だけでなく、OEM生産も受けている。

 2025年3月期は、学生服メーカーの生産調整の影響を受けたが、今期に入っては、やや影響が残るものの、「多少受注が戻ってきている」(合田雅弘岡山支店ディレクター)と言う。

 国内では夏季の猛暑が年々深刻化している。接触冷感といった熱中症対策に向けたアイテムの打ち出しも模索する。合田岡山支店ディレクターは「新しく、面白い商材を探し求め、提案していきたい」と話す。

〈安定供給が最優先/ミズノ〉

 ミズノは2026年入学商戦に向け、昇華転写プリントをあしらったウエアの受注拡大に期待しつつ、引き続き安定供給を重視する。

 25年入学商戦は、24年と比べて売り上げを伸ばした。競合相手だったアシックスが学販事業から撤退したことの受け皿としてシューズの採用が進んだことなどが要因。

 アシックスが学販事業からの撤退を決めた後、学校側から「次もライセンスではないスポーツブランドで」との声が寄せられ、その需要の取り込みに成功した。

 シューズの切り替えの際に一緒に提案できたことでウエア類も伸びた。同社はサッカーや野球など部活のウエアを受け持つことが多く、その延長線上として学校全体の体操服の提案に力を注ぎ、成果につなげた。水着は猛暑による授業頻度の急減などを背景に減少した。

 26年入学商戦に向けては昇華転写プリントウエアの提案に力を入れている。これまでも昇華転写は使ってきたが、来年に向けたカタログでは大々的にアピールし、好評を得ていると言う。

 同社はポリシーとして、「安定した供給体制」を重視している。26年入学商戦でもこのポリシーを実践し、無理な受注は追わず、地道に拡販に臨む考えだ。

〈学生服メーカーなど/体育着などリユース徐々に〉

 学生服メーカーなどが学生服や体育着などのリユース事業に乗り出す事例が広がってきた。

 菅公学生服は今年から、同じ学校の保護者同士が制服や体育着、学用品を売買できるフリマサービス「ゆにのわ」の提供を全国の学校向けに始めた。プラットフォーム上で出品、購入できるサービスで、既に採用にもつながっている。2026年7月期中に100校の導入を目指す。

 学生服・学用品専門フリマサービス「学リレ」を昨年から本格稼働させているのは伊藤忠商事。保護者が不要になった制服や学用品を匿名で売買できる。制服をはじめ、体育着、靴、学用品など、幅広い商品が取引されている。学生服・学用品電子商取引(EC)プラットフォームの「学校生活」を介し、利用を学校関係者に制限する。

 体育着は含まれないが、明石スクールユニフォームカンパニーも学生服のリユース・リサイクル事業「Re―Ring AKASHI」(リリングアカシ)の展開を今春から本格化させている。学校と連携し、制服の寄付、もしくは買い取りを実施。回収した制服を状態によってリユースとリサイクルに分けて再活用する。

〈フットマーク/水泳授業の現状は?〉

 水泳用品製造販売のフットマーク(東京都墨田区)はこのほど、国内の小・中学校1445校に対し、水泳授業に関するアンケートを実施した。

 「今年度、水泳授業を実施予定」とした学校は93・6%となった。実施時期は6月が約8割を占めた。開始時期を「昨年より早めた」とする学校は29・5%。主な理由は「年間スケジュールの都合」が最多で、「熱中症への懸念」が続いた。一方で、遅らせた学校も一部であった。

 開始場所は大半が自校での開催を予定しているが、約15%が「学校外の施設(スイミングクラブや公営プールなど)」と答えた。自校のプールの老朽化や維持費の問題があるとみられる。

 水泳授業での困り事は、複数ある学校が大半だった。「水質管理」や「熱中症」「指導の難しさ」「見学者の多さ」などが挙げられた。「その他」では、人手不足、指導者確保、見学者対応、施設面の問題などの回答があった。

 困り事で見学者の多さが挙げられたことから、水泳授業を見学する理由についても聞いた。「泳ぎが苦手」が最も多く、「水着姿に抵抗がある」「日焼けをしたくない」が続いた。技術的な不安に加え、心理的、身体的な抵抗感も見学の要因となっていることがうかがえた。