繊維ニュース

副資材企業/海外展への出展活発化/市場開拓の足掛かりに

2025年08月22日 (金曜日)

 国内のアパレル市場の縮小を受け、副資材を供給する企業が海外市場に活路を開くため、海外で開かれる繊維関連の展示会に出展する事例が目に付くようになった。出展企業は、現地調達のニーズへの対応力を示しながら、新規取引先を開拓する機会を求めている。

(強田裕史、吉田武史)

 モリトアパレルは4月、ベトナム・ホーチミン市で開かれた繊維・衣料品産業の展示会「サイゴンテックス2025」に初めて単独で出展した。ASEANでも、現地で製造や調達ができる体制をアピールするのが狙いだった。

 ベトナムではダナン市で工場を操業しているが、本格的な販売活動には踏み込めないでいた。出展には、販売に注力するきっかけ作りの意味合いもあった。

 展示ブースには日系や欧米の企業の来場者が多数訪れ、アパレル以外の業種との接点も生まれたと言う。

 清原(大阪市中央区)もサイゴンテックスに出展し、日本企画の金属ボタンや金属パーツに加え、ベトナム製のパーツや梱包(こんぽう)資材も出品した。

 この展示法が、意匠性の高い日本企画商品で来場者を引き付け、ベトナム製資材にも興味を広げてもらうという相乗効果を生んだ。同展への出展は2回目で、前回の経験を生かし、ターゲットや提案商品を明確化することで取引獲得につなげた。

 バイアステープ製造卸のトップマン工業(大阪府東大阪市)は、10月にベトナム・ホーチミン市で開催される「VTG2025」(ベトナムテキスタイルガーメント展)に出展する。

 ポリウレタン製テープなどの代替品として開発した「ネオラバーテープ」とその生地バージョン「ネオラバーファブリック」に出品を絞る。ターゲットも、欧米ブランド向けの生産を担う現地縫製工場に設定し、使い方を分かりやすく訴求する。

 プラスチックホックのカジテック(大阪市中央区)は、9月の「インターテキスタイル上海」で日本ファッション・ウィーク推進機構が主催する日本パビリオンに参加する。日本製品を求めるバイヤーへの提案に目的を絞った。

 同展のほか、ベトナムのサイゴンテックスやVIATTに継続出展しており、アジア地域への拡販に力を注ぐ。

 商社のオークラ商事(東京都千代田区)は、今日22日まで韓国で開かれる「プレビューインソウル2025」に出展している。法人向けの副資材注文サイト「アパレルX」と併せ、日本の産地や副資材も、韓国をはじめとした世界の市場に向け発信する。

 韓国の副資材メーカーが扱う商材を、アパレルXを通じて日本市場に展開することも視野に入れている。