倉敷繊維加工/半導体関連が本格化/金属イオン捕集フィルターで

2025年08月28日 (木曜日)

 クラボウグループの短繊維不織布メーカー、倉敷繊維加工(大阪市中央区)は今期(2026年3月期)から、半導体関連用途に向けてグラフト重合加工による金属イオン捕集フィルター「クラングラフト」の本格販売を開始した。

 クラングラフトは、繊維に放射線など高エネルギーを照射してさまざまな機能材を分子的に結合させるグラフト重合加工を応用したカートリッジフィルター。薬液に溶け込んだごく微少な金属イオンを捕集することができる。こうした機能を生かして、半導体製造工程などで使用する高純度薬液の精製用途で提案を進めてきた。

 採用に向けたテスト販売やプレマーケティングとしての販売を実施し、高い評価を得たことで、ここにきて正式採用が決まり始めた。このため今期から正式に売上高、利益を営業計画に組み込み、本格販売を始めた。半導体関連分野の活況が続いていることから、米澤秀次社長は「ユーザー企業からの評価は高い。今期はまだ小さな売上高・利益計画だが、これから倍々のペースで拡大させていきたい」と期待を寄せる。

 まずは半導体関連の薬液メーカーに向けた販売からスタートするが、将来的には半導体メーカーや半導体製造機メーカーへの提案も視野に入れる。韓国や台湾の半導体関連企業への提案にも取り組みたいとする。

 同社は現在、主力の自動車キャビンフィルターなどの販売が堅調で、国内3工場はいずれもフル操業が続いている。こうした中、高付加価値商品の販売拡大を進めており、他社で代替の難しい独自技術による加工の活用に力を入れている。クラングラフトもその一つとなる。