特集 染色加工(9)/繊維機械/日阪製作所/村田機械
2025年08月28日 (木曜日)
〈日阪製作所/国内外で染色機を拡販/新たなシステム開発〉
日阪製作所は、省エネや省人化を切り口にした提案を強化し、国内外での拡販を目指す。
前期(2025年3月期)の染色仕上機器事業は、中国を中心に海外での受注が堅調だった。日阪〈中国〉機械科技はフル生産が続き、年産約150台に達した。中国内だけでなく第三国向けも増えており、今後はインドや東南アジア市場にも注力する。
国内販売は今期、前期比横ばいを計画する。染工場を取り巻く環境は一段と厳しく、液流染色機の需要は鈍化が見込まれるが、特殊加工機を中心に需要を取り込んで売上維持を図る。
省エネ・省人化への要望はさらに高まっており、新水洗機構を搭載した液流染色機の提案を進める。低浴比を実現した大容量モデル「SG型」を、従来の「SQ型」に続く主力として提案を強める考えで、10月のITMAシンガポールでも出展する。
一方、国内の染工場では、依然として染色機の運転条件を手作業で細かく設定する必要があり、これが生産性を阻害しているケースも少なくない。
こうした課題の改善に、自動走行補正システム「ACCS」を提案する。従来はオプションだったが、高評価を背景に新台では標準装備化が進んでいる。ACCSの機能拡張も進め、自動運転化に向けた開発にも着手。早ければ今下期にも提案を開始する。
〈村田機械/ウール産地でも導入/ノッターも新規開発〉
村田機械は自動ワインダーの最新機種「AIcone」(アイコン)を、染色用ソフト巻きや小割りなどにも提案する。高生産性や自動化、省エネ対応のほか、主力の紡績用ではアラームが出にくい機種として評価を得ている。
アイコンは巻き返し用での提案も強めており、日本では今治に続いて尾州での導入も決まった。尾州での導入は初で、新たに開発した糸つなぎのノッターを付けての導入になる。ノッターからはいったん撤退していたが、要望を受けて改めて開発した。スプライサーとは異なり結び目ができるが、自動化でより幅広い糸種に対応できるオプションとして提案していく。
自動化の要望はさらに高まっており、今治では染工場に続いて製織工場での導入も決まった。オートドッファー機能への注目が高く、巻き取りが完了したパッケージを取り上げ、下から糸を拾って巻き直す作業を自動で行う。作業者の負担をさらに減らす機能として、給糸パッケージをリザーブして自動で切り替え、2パッケージを連続生産するタイプもそろえる。
古い機械からの更新では生産性が2倍近くになり、作業時間の大幅な短縮につながる機種として評価を得る。
1台=10錘からで、ドラムトラバースとアームトラバースの混載も可能。本社などに実機を置き、導入前に実際の稼働を見ることもできる。