「パーテックス」と「ベンタイル」/合繊と綿ですみ分け、共に拡販へ/2種の高密度織物

2025年09月01日 (月曜日)

 合繊織物の「パーテックス」、綿織物の「ベンタイル」。著名なこの2種類の織物には「超高密度」という共通点がある。特殊な加工を施さずとも高い防水性や防風性があり、もちろん加工との組み合わせによってさまざまな機能も付与できる。現在両織物の商標権を持つのがMNインターファッション。同社機能テキスタイル事業部の奥田誠部長は、「全世界に売りまくっていく」と拡販への手応えをつかんでいる。(吉田武史)

 共に英国にルーツを持つ織物。ベンタイルは長く大和紡績が商標を持っていたが、今年5月、Stotz&Co.AG(Stotz社、スイス)、大和紡績との合意のもと、MNインターファッションが海外と国内の商標権を譲受した。

 MNインターファッションは、三井物産時代の2005年に英国の会社からパーテックスの商標権を取得し、販売を始めた。北陸産地で織布、加工してアウトドアブランドなどに販売するが、輸出比率が90%と海外での評価が圧倒的に高い。

 まずは戦略通り欧米のアウトドアブランドで認知され、その後、スポーツ、ファッション、ユニフォームと採用分野を増やしていった。ここ1~2年は欧米に加えて中国ブランドでの採用が急拡大している。

 05年の商標取得以来、新型コロナウイルス禍初年度の1年を除き、同織物の売り上げは右肩上がりを続けている。

 生産は高密度織物を得意とする北陸産地の大手織布工場数軒が主力で、加工も同産地で行うのが主。ただ、競合素材との差異化の意味も含めてさらなる拡販には価格競争力も必要と判断し、今では中国や台湾でも生産している。

 合繊のパーテックス、綿のベンタイルは、素材は違えど機能は近似しているため競合することもあった。しかし販売元がMNインターファッションに一本化されたことで今後はすみ分けや相乗効果が見込める。「パーテックスで蓄積してきたノウハウがベンタイルにも生かせる」と判断したからこその商標取得。「ベンタイルでも同じスキームを作っていく」とし、生産・販売の両面でパーテックスを模倣する戦略だ。パーテックスと同様、「ベンタイルも必ず売れる」と自信を見せている。