未来を照らす若人たち~今春入社した若手の思い(10)伊藤忠モードパル 営業本部アパレル営業第1部アパレル第2課 野中雄斗さん

2025年09月02日 (火曜日)

高まる海外志向

 「海外に目を向けているブランドと一緒に仕事がしたい」。今年4月、縫製品OEM/ODMを手掛ける伊藤忠モードパル(東京都中央区)に入社した野中雄斗さん(25)は将来の夢をこう語る。

 生まれも育ちも東京。理系の大学に進学し、「4年では学び切れなかった」と大学院へ進んだ。専攻は認知科学。「人の美的感覚や感性に興味があった」と心理学の探求に明け暮れた。

 「美的感覚」の延長線上だったのか、在学中にファッションへの興味が高まり、就職希望はアパレル関係を軸にした。

 伊藤忠モードパルは、縫製の8割を日本で行う。全国約200軒の縫製工場と取引し、生地や副資材の大半も日本製。国産ならではのクイックさと小口対応、高い品質を強みとする。

 野中さんは研修期間、東北地方のある縫製工場に住み込みで1週間、縫製作業を学んだ。設備の知識や作り方を教わり、軽作業を手伝った。「服が人の手で実際に作られていることを実感できたのはとても貴重な体験だったし、大きな学びになりました」と素直な感想を聞かせてくれた。

 会社の印象は「社長や役員の方々を含め、皆が優しくフレンドリーな雰囲気」。異なる部署の社員とも気軽に話せ、「困っていたらすぐに助けてくれる」と信頼を寄せる。

 そんな心理的安全性の高い職場の中で野中さんの内に育まれつつあるのが、海外志向だ。海外に目を向けるアパレルブランドからの仕事を請け負い、「出口戦略として日本のモノ作りを海外に打ち出していきたい」と考えている。

 心理的安全性が高い組織では、そうでない組織と比べ、挑戦する文化が醸成され、チームのパフォーマンス向上、従業員のエンゲージメント向上につながるとの検証結果がある。大学院にまで行き学んだ野中さんの自己分析は、「好奇心が強く、何かを調べるのが好き」。個人の裁量が認められる職場環境の中で自己研さんを重ね、業界や事業の可能性を調べながら海外に打って出る。夢は始まったばかりだ。