「インターテキスタイル上海」/出展素材の高度化顕著/日本館に36社出展
2025年09月03日 (水曜日)
世界最大級の服地と副資材の国際展「インターテキスタイル上海アパレルファブリックス2025秋冬」が2日、中国・上海の国家会展センター〈上海〉で開幕した。日系企業が集まる「ジャパン・パビリオン」には、昨年秋展より2社多い36社が出展。各社の素材の高度化が顕著だ。会期は4日まで。(岩下祐一)
今回の出展者数は25カ国約3700社超で、昨年秋展を200社ほど下回ったもようだ。日本ファッション・ウィーク推進機構(JFW)が主催するジャパン・パビリオンをはじめ、香港、インド、イタリア、韓国、台湾、トルコなどが国家・地域パビリオンを設けている。
日系企業はジャパン・パビリオンに36社が出展するほか、東レグループの東麗酒伊織染〈南通〉や東麗国際貿易〈中国〉、旭化成、ソアロン、帝人フロンティアの中国法人、南通帝人、スタイレム瀧定大阪、伊藤忠商事などが単独で出展している。
中国のファッション消費は振るわない。個人資産全体の7割を占めると言われる不動産の不況が響き、消費が下押しされている。レディース大手各社の25年1~6月業績は、大部分が前年同期比減収だった。これを受け、ファッション向けが主力の日系生地商社の今年の業績も芳しくない。
対照的に好調なのが、スポーツ・アウトドアブランドだ。中国スポーツ用品最大手、安踏体育用品(アンタ)の2025年1~6月業績は、売上高が385億元で14・3%増えた。景気が鈍化する中でも、「デサント」「コーロンスポーツ」などの「その他ブランド」が60%超の増収となり、業績全体をけん引した。これらブランド向けの素材と、製品を手掛ける日系メーカーや商社の業績は、好調を維持している。
こうした中、ファッション素材を強みとするジャパンパビリオンの日系出展者は今回、従来よりも差別化した素材を打ち出す。
双日ファッションの中国法人、双日奔時代〈上海〉は、日本本社と連携し、開発する日本と中国製の付加価値素材を訴求している。綿素材の定番品を主力としてきたが、地場競合メーカーとの競争が激化しており、今年から綿素材の幅出しに取り組んでいる。
前多は北米のヨガブランドや、アウトドアブランド向けで実績を積む、オリジナル糸を使った高感度の合繊織物をアピールする。
サンウェルは、中国内販で引き合いのあるシルク混の高級素材を目玉の1つに据える。
ニッケは、欧州メゾン向け販売で豊富な実績を持つ、ウール100%の織物「ギャバジン」の「ディープブラック」シリーズを打ち出す。