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東レ/サステでIRセミナー/関連事業の課題など説明

2025年09月05日 (金曜日)

 東レは3日、IRセミナー「東レグループのサステナビリティへの取り組みに関する説明会」を東京本社で開催した。畑愼一郎上席執行役員サステナブル経営推進室長らが登壇し、サステイナビリティーに関する基本的な考え方や関連事業の課題などについて説明した。

 同社は、2018年に「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」を発表し、地球規模の課題に対して革新技術・先端材料などによって本質的なソリューションを提供してきた。サステナビリティイノベーション(SI)事業の売上収益も拡大し、24年度(25年3月期)は1兆3689億円、全社売上収益の53%に成長した。

 その中でさまざまな取り組みを進めており、資源循環では、30年に「持続可能な循環型の資源利用と生産に貢献する製品」の売上収益を4千億円(24年度1500億円)とするほか、基幹ポリマーにおける再生資源などの使用比率を現状の数%から20%に高める。

 環境価値を経済価値に転換することが課題とし、環境価値への共感(ストーリーの共有)といった仕組み作りが必要と説いた。共感の一例として、かばん製造・販売の吉田(東京都千代田区)との協業を紹介し、100%バイオナイロン510繊維を使用した吉田かばん「タンカー」で市場・顧客と価値を作り上げているとした。

 規制・政策によるニーズ変化・市場創出にも触れ、自動車用途における欧州ELV(廃自動車)指令案への対応、水素への取り組み、行政との連携による新市場の創出などを解説した。欧州ELV指令案では、「リサイクルなどは時間がかかる。早い段階から準備が必要」との認識を示した。