江南布衣/伝統生地をイノベーション/インテキ上海でイベント
2025年09月05日 (金曜日)
【上海支局】レディースブランド「JNBY」を展開する江南布衣は、2~4日に開かれた生地展示会「インターテキスタイル上海」に出展し、中国の伝統的な生地を研究・記録し、現在の生地開発に生かすプロジェクト「布尽其用」(ブージンチーヨン)をアピールした。会期2日目の3日には同会場で、布尽其用の説明会を開いた。
同プロジェクトは、江南布衣と、伝統工芸および現代デザインを研究する非営利団体「融設計図書館」が2022年立ち上げた。開発生地の一部は、JNBYなどの同社傘下のブランドに採用されている。
3日のセミナーで、同社マーケティングセンターの呉偉波総監は「布尽其用は伝統工芸に敬意を持ち、イノベーションを追求する私たちの使命と位置付けている。伝統的な生地と工芸の新しい認識を喚起したい」と述べた。
布尽其用のブースには、チベット自治区の高山地帯に生息するヤクの毛を使って、九つの協力工場で生産した織物と編み物を出展した。伝統技術と現代的デザインを融合した豊かなバリエーションの生地がそろった。
その一角で、バイオスタートアップ企業のSpiber(スパイバー、山形県鶴岡市)が開発した構造タンパク質素材「ブリュード・プロテイン」を使用した生地も紹介した。
〈「江南布衣が中国初の顧客に」/スパイバーの関山和秀社長に聞く〉
――江南布衣の「JNBY」と、メンズ「速写」(クロクウィン)が、25秋冬アイテムに「ブリュード・プロテイン」使いのウール調織物などを採用しました。
当社の素材を使う中国初のブランドになります。日系商社が中国で生産した生地が採用されました。これを機に、中国販売を強化していきます。
――江南布衣を最初の顧客に選んだ理由は。
中国であまり知られていない素材のため、まずは多くの方に素材の良さを知っていただきたいです。そのため、影響力が大きく、サステイナビリティーを重視し、最先端の素材を使うイノベーティブな姿勢を持つ江南布衣と取り組むことにしました。
同社とはただの販売先ではなく、モノ作りやサプライチェーンの整備などでも協力する関係になっていきたいです。
――海外販売の進捗(しんちょく)は。
2年前から欧州ブランドの開拓を始め、英「バーバリー」のスカーフや、ケリング・グループ傘下のブランドに採用されています。採用ブランド数は、海外が日本を上回りつつあります。