ごえんぼう

2025年09月08日 (月曜日)

 「銃ではなく、スーツで戦う」「エレガンスこそが武器だ」。アフリカのコンゴ共和国のブラザビルと、コンゴ民主共和国のキンシャサ周辺には、ある文化が根付いている▼着飾る優雅さで自己表現や平和を追求する、いわゆるサプール文化だ。女性の場合、サプーズと言われる。これは20世紀初頭のフランス植民地時代に欧州の服飾様式が伝わったことを背景に、貧困や混乱の中でもエレガンスを武器とする生き方として広まった▼ギャングや暴力から距離を置くスタイルで、特にブラザビルでは若者の間に「サプールになりたい」という憧れが広がっている。もちろん、過度な出費が借金や生活苦につながる場合もあるが、若者の非行を抑え、平和的な行動を促す効果もあるようだ▼サプールはまさに貧しさの中で“豊かさ”を創造し、暴力ではなく“美”で語る人々の生き方である。ファッションはいつの時代も人の心に潤いを与える。