帝人フロンティア スポーツ堅調続く

2025年09月08日 (月曜日)

 帝人フロンティアの衣料繊維部門衣料素材本部の2025年度上半期(4~9月)商況は、ここまでテキスタイル事業のスポーツ用途が輸出を中心に堅調に推移した。ニット生地を中心に独自性の高い素材開発に対してメガブランドからの評価が高い。

 今後は輸出と国内販売を一体的に運営することも視野に入れ、さらなる業容拡大を目指す。

 東政宏執行役員衣料素材本部長によると、テキスタイル事業はニット生地を中心にスポーツ用途の輸出が堅調だった。「さまざまな機能性のコンセプトがメガブランドに評価されている」と言う。織物は中国子会社の南通帝人の生産品を中心に販売が拡大した。

 国内でのスポーツ素材販売は総じて市況に勢いがないものの、日本のスポーツアパレルが海外販売する製品向けが好調だ。このため今後は輸出と国内販売ともに海外市場向けに焦点を当てる一体運営も視野に入れる。日本品と南通帝人、さらにタイ子会社のタイ・ナムシリ・インターテックス、インドネシアの協力工場の生産品も含めてトータル提案することで、さらなる業容拡大につなげる。

 ユニフォーム用途は定番ワークウエア向けが採算的にも積極的な拡大が難しい状況となっているが、企業別注や防塵(ぼうじん)服など特殊ユニフォーム、官需などは好調。このため今後もこれら分野に力を入れると同時に、「ASEAN地域など海外のユニフォーム用途への参入にも力を入れる」。

 一方、ポリエステル長繊維販売を中心とした原料事業は、大手SPA向けなどに引き続き力を入れると同時に、ニーズの高い機能糸の開発・販売を強化する。吸湿発熱繊維「サンバーナー」など独自素材を活用した開発も進めており、「国内の産地向けと、SPA向けを中心とした海外販売をバランスよく拡大する」ことを目指す。

 現在の主力生産拠点であるタイ子会社のテイジン・ポリエステル〈タイランド〉(TPL)や協力関係にあるインドネシアのティフィコ以外からの調達も視野に入れ、需要家のニーズに応える糸の提案と販売に取り組む考えだ。

マーケティングサイト開設 グローバル対応も可能

 帝人フロンティアは、グローバル市場で対応可能なマーケティング機能を備えたウェブサイトを開設し、このほど運用を開始した。国内外のデジタルマーケティング活動強化の一環として立ち上げ、運用開始を機に営業のフロント業務をサイト経由で拡大し、ビジネス獲得につなげる。

 新設サイトは、デジタル空間上に自社グループの特徴や強みと提供可能なソリューションを再現している。「商社×メーカー×デジタル」の三位一体による新たなマーケティング戦略をグローバルに展開することで、ブランド認知の拡大やリード顧客の獲得、取引案件の創出を図るなど、成長戦略を推進する。

 グループ内のさまざまな企業サイトや製品サイトと横断的にリンクした情報の提供が可能であるほか、マーケティングオートメーションと連携して利用者に最適なソリューションを提案する。生成AI(人工知能)チャットボットを活用し、リアルタイムでの対話も実現している。

 そのほか、AIO(AI最適化)対応コンテンツの掲載によってAI検索にも能動的に応じる。また、構築を進めている海外グループ会社のマーケティングサイトとも連携し、グローバル市場における課題解決型のマーケティング展開も予定している。