吉田機械/多層織物用の新型機を開発/ワープビーム1本で制御
2025年09月08日 (月曜日)
細幅織機製造の吉田機械(石川県白山市)は、厚地ベルトなど多層極厚織物用の新型細幅シャトル織機を開発した。芯糸を使わず織機で直接一体化した構造で3層以上を製織でき、経糸送り出しの制御はワープビーム1本だけになる。10月にシンガポールで開かれる「ITMAアジア」で発表する。
従来の多層細幅織物は、①袋織りの2層で外周を形成するグランド糸②強度や厚みを形成する芯糸③上下の層を連結する綴じ糸――で組織されている。織機の経糸送り出し装置は、3本のビームに整経した外周、芯糸、綴じ糸を別々に、速度や張力を制御する必要があった。新たに開発した織機では、芯糸を使わず組織で一体化した多層織物を生産でき、経糸送り出し装置の制御は、グランドのワープビーム1本のみになる。
開口装置は積極ドビーを採用し、織機の上部に搭載することで省スペース化も実現した。経糸は大型ワープビーム(経900ミリ)に対応した積極送り出しで、緯入れは大型のシャトルとウェフトボビン(経55ミリ)を採用し、太番手糸への対応や省力化につなげた。
ITMAアジアでは、織機の展示とともに、経・緯とも3333デシテックスのポリエステル糸を使った4層織物(厚さ10ミリ、綾織)も紹介する。
極厚の多層織物は、安心・安全の流れなどを背景に注目が高まっており、工業用ベルト(伝動ベルト、コンベアベルトなど)、安全ベルトやハーネス、航空宇宙・軍需装備、アウトドア用ストラップなどの分野で使われている。