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インテキ上海の日系メーカー/素材ブランド力訴求/各社ブースが終日にぎわう

2025年09月08日 (月曜日)

 【上海支局】2~4日に開かれた生地展示会「インターテキスタイル上海アパレルファブリックス」に単独出展した日系メーカー各社は、中国で成功する素材ブランドを打ち出した。いずれのブースも終日にぎわった。

 旭化成は、キュプラ繊維「ベンベルグ」のアウター用途の高級織物を充実させた。シルクの生機を広東省のソメモノイモで染め、ミネラルを含む川の泥土を塗り、天日干しして生産する「香雲紗」(シアンユンサー)の技法を使ったサテン生地(ベンベルグ51%・レーヨン49%)などを訴求した。アウター向けの中国内販は、ファッション市況が振るわない中でも伸びている。

 キュプラ長織維不織布「ベンリーゼ」のスリット糸を、ヤシを使った高級素材、ラフィア風にした素材も注目を集めた。ドライかつ柔らかな手触りが特徴で、手編み向けに提案した。

 ソアロンは、「上質感あるリラックス」をテーマに出展。レディース、メンズ、スポーツアスレジャーに向けて、トリアセテート長繊維「ソアロン」のカジュアル感を強調した。このほど採用が決まった同素材の新しい中国語ブランド名「絲雅綸」もアピールした。

 これまで得意としてきたスーツやフォーマル向けの内販が芳しくない中、特にメンズとスポーツアスレジャー向けの訴求に力を入れた。シワ加工など後加工の表面変化を特徴とする織物の引き合いが多かった。

 南通帝人は、「ソロテックス」「オクタ」など中国で浸透する素材ブランドとともに、新素材「ジャイロテックス」を出展した。疎水性微多孔構造の非フッ素防水透湿膜で、耐久性に優れていることを紹介した。

 東麗国際貿易〈中国〉(TICH)は、東レ本社の原糸・原綿をメインに使用し、中国とベトナムの外注委託工場で生産するファッション用途向け生地ブランド「EVOTRUTH」(エボトゥルース)を前面に打ち出した。中でも、モダールとシルク、ポリエステル複合のサテン「エボトゥルース プロテクト」のアピールに力を入れた。同素材はシルクの吸湿性と高級感、ポリエステルのUVカット性と快適性を併せ持つ。

 東麗酒伊織染〈南通〉(TSD)は「サステイナビリティー イン オール プロセス」をテーマに、四つの「グローバル・メイン・ブランド」を打ち出した。ナイロン・ポリエステルの細繊度糸を使用した軽量高密度織物「エアータスティック」は、ストレッチタイプの新製品を訴求。防水透湿素材「ダーミザクス」は、日常から登山などでの過酷な気象条件にも耐える幅広いラインアップを紹介した。丸編み地「フィールドセンサー」は、毛細管現象を編み地に応用することで汗をすばやく吸収、移動、拡散、蒸散させることをアピール。「プライムフレックス」はしなやかなストレッチ性を訴求した。

〈TSDが恒申と「T2T」で提携〉

 TSDと、地場合繊メーカーの恒申グループは、ナイロンの「繊維to繊維」(T2T)リサイクルで提携する。2日にインテキ上海の会場で、戦略的提携の覚書を締結した。

 TSDの石井慎二副総経理は、両社でクローズド・ループ・リサイクルを実現し、「繊維品の温室効果ガス削減に貢献していく」と話した。恒申グループの梅震副総裁は「これを機に両者の関係はビジネスパートナーから“エコ同盟”に昇格する」とした。