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リーター 完全自動化紡績へ布石

2025年09月09日 (火曜日)

 スイスの繊維機械大手リーターは、10月28~31日にシンガポールで開かれる「ITMAアジア」で、「完全自動化紡績工場(ビジョン2027)」の実現に向けた最新機器群を発信する。

 自動化とデジタル化を軸に、省エネと効率性を兼ね備えた技術力の訴求によって、アジア市場での存在感を高める。

 今回のITMAアジアでは、原綿搬送からキャン(スライバーなどを収納する容器)輸送、蒸気処理やパレタイズ、ラベリングに至るまで工程全体を自動化するソリューション展開を紹介。工場全体の稼働状況をリアルタイムで把握し、最適化を図る「エッセンシャル・モジュール」も打ち出す。マネジメント層からオペレーターまで、現場の判断を支援する。

 新型コーミング準備機「オメガラップE40」は従来比33%増の毎時800㌔の生産能力を持ち、エネルギー消費を30%削減。精密ワインディングマシーン「NEO―BD」は従来の2倍速で均質なパッケージを形成できる。

 空気精紡機「J70」は、カード綿を用いたコスト効率の高い紡績を実現。新開発のツイストエレメントにより生産速度が向上し、原料の歩留まりも向上した。他原料への応用性もあり、幅広いニーズに対応できる。初公開の省エネスピンドル「eNASA」は績機2~4%の電力削減を可能にした。

 リサイクル糸への対応も強化し、持続可能な合成セルロース繊維を活用してリング糸のリサイクル含有率を高める技術を紹介。さらに純正部品を迅速に調達できる新ウェブショップも披露する。「デジタル×オートメーション」の融合で紡績工場の変革を促し、グローバル市場での競争力の強化を目指す。