若者の意識が変わる
2025年09月10日 (水曜日)

繊維製品の廃棄による環境負荷を削減することをテーマに、日本繊維機械学会の繊維リサイクル技術研究会が研究者と学生で組織したプロジェクトチーム「エンウィクル」はこのほど、恒例のイベント「私たちのSDGs2025」(本紙「繊維ニュース」など後援)を大阪市内で開催した。学生たちが主体となり、繊維アップサイクル製品の紹介や衣料品回収に取り組んだ。イベントを通じて若者たちの意識が変わる機会となっている。
イベントには大阪樟蔭女子大、関西大、京都光華女子大、京都工芸繊維大、京都女子大、甲南女子大、神戸大、滋賀大、滋賀県立大、四天王寺大短期大学部、成安造形大、立命館大の学生らが参加した。
今回も企業から提供された端材など繊維廃材を用いた学生によるアップサイクル製品の展示と、ファッションショーを実施した。カーテン用生地やリボン、安全ネット、漁網、蚊帳、デニム端材などさまざまな繊維廃材を使い、若者の感性でユニークなデザインとスタイリングを実現した。
ファッションショーのほか、京都工繊大の前川善一郎名誉教授、ザ・ウールマーク・カンパニーの西沢智裕氏、茨城大の長田華子准教授による特別講演、京都工繊大の木村照夫名誉教授による特別講義、シキボウ、V&Aジャパン、東洋紡せんい、スタイレム瀧定大阪が参加しての企業トークも実施した。
また、今回は繊維製品のリユース・リサイクル促進と循環型ビジネスモデル構築に取り組む一般社団法人テキスタイルサーキュラーネットワーク(TC―Net)と連携し、使用済み衣料品回収も実施。回収した古着の譲渡会と学生によるアップサイクル作品を制作・販売した。残った古着はTC―Netに参加する中古衣料品リユース・リサイクル事業のファイバーシーディーエム(堺市)に引き渡し、再資源化する。
学生の指導に当たった京都光華女子大の宮原佑貴子准教授は「エンウィクルの体験を通じて、学生のリサイクルに対する意識が変化している。消費の際に素材を確認したり、できるだけ長持ちする商品を選ぶなど生活様式の変容にもつながる機会となっている」と、イベントの意義と手応えを示す。