インテキ上海25秋冬レビュー(前)

2025年09月10日 (水曜日)

付加価値素材を目玉に

 世界最大級の生地・副資材見本市「インターテキスタイル上海アパレルファブリックス2025秋冬」が2~4日、中国・上海の国家会展センター〈上海〉で開かれた。日系企業が集まる「ジャパン・パビリオン」には、昨年秋展より2社多い36社が出展。各社の商談件数は前年並みか、前年を下回るところが目立った。

(上海支局)

 今回の出展者数は25カ国約3700社超で、昨年秋展を200社ほど下回ったもようだ。日本ファッション・ウィーク推進機構(JFW)が主催するジャパン・パビリオンをはじめ、香港、インド、イタリア、韓国、台湾、トルコなどが国家・地域パビリオンを設けた。

 日系企業はジャパン・パビリオンのほか、東レグループの東麗酒伊織染〈南通〉と東麗国際貿易〈中国〉、旭化成、ソアロン、帝人フロンティア中国法人の南通帝人、スタイレム瀧定大阪、伊藤忠商事などが単独で出展した。

 ジャパン・パビリオンがある国際ホールは、多くの来場者でにぎわったものの、例年に比べやや落ち着いた感があった。同パビリオンの出展者の商談件数は前年とほぼ同等か、前年実績を割ったところが目立った。一方、機能・スポーツウエア素材ホールに出展した東麗酒伊織染〈南通〉は、来場者数が過去最高水準だったとみられる。

 中国のファッション市況が振るわず、地場の競合メーカーとの競争が激しさを増す中、日系企業の出展者は今回、付加価値素材を前面に打ち出した。

 スタイレム瀧定大阪は、尾州産地の職人とともに開発したウール100%のツイードや、自社で畑から管理し、トレーサビリティーを実現した有機綿を採用した生地などを訴求した。

 宇仁繊維は、キルティング、チェック、ジャカードの織物を出展。小ロット・短納期ニーズに対応した備蓄サービスと、価格に見合う高付加価値の織物であることをアピールした。

 山陽染工は「ここにしかないインディゴ」をテーマに、染色加工の独自技術の紹介とともに、バラエティー豊かなデニムを提案した。染色の濃度に変化を持たせ、柄を表現した織物などが関心を集めた。

 チクマは、サステイナブルを追求し、さまざまな後加工を施した生地をアピール。顔料を使用したヘビーウエートでハードタッチな有機綿100%使いの綾織りを、メンズのアウター向けとして提案。ポリエステルとポリウレタンを使った3層構造の織物は、高い透湿性と、ソフトな手触りを訴求した。